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あぁもう食べづらい。
先程からずっと目を輝かせながら此方を見てくる太宰くん。


『鍋に余りありますから!勝手に食べればいい
でしょう?』

「いいのかいっ?」

何がいいのかい?だ。絶対に確信犯だろう。


「わぁこれ物凄く美味しいよ!」


『...どうも』

料理を摘み食いしたかと思うと、とても幸せそうに顔を綻ばせる。
思う所は大量にあるが、まぁ悪い気はしなかった。


「Aちゃん料理出来たのだねー」

前言撤回。失礼な奴。
必要がないからあまり作らないだけで、料理は得意な方だ。
...あの家に必死で学んだから。


『それよりどうしてそんなに濡れているのです
か。』

頭に浮かんだあの家の事を消し去りたくて、別の話題を口に出した。


「これ?さっきまで入水していたのだよ。」


『あぁそうですか』

もう突っ込むまい。キリないし。
それに家を事故物件にされるくらいなら外でしてきてくれる方が助かる。
あ、でも水だらけで来られると掃除が...
て、待って違うそこじゃない。
そもそも自○がちょっとあれ...でしょう?
どうしよう思考が太宰くんに侵され初めている



「どうしたんだい?急に百面相をしだして」


『いえ別に』

誰のせいだと思っているんだ...とは口に出さないでおいた。余計に面倒になるのが目に見えてたから。

それに...
時計に視線を移した。そろそろ行かなくては。遊んでいる時間はもうない。



『私、そろそろ家出るので』

「えぇ?」

『もう時間です』

「...そうかい。」


何故だか少し拗ねたような態度になった太宰くんを放置して身支度を始めた。


『では』


少し名残惜しかったが、まぁどうせまた直ぐにくるに決まっている。
と、そこまで考えて驚いた。私は太宰くんに会いたがっていたみたい。


...冗談。そんな訳ない。ただ何となく慣れてしまっていただけよ。そう。きっとそう。



後ろの方で太宰くんが何かを呟いた気がした。
けれど、それはバタリと閉まった扉によってかき消された。

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作者名:とと | 作成日時:2019年9月10日 19時

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