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「どうして__を傷つけた!」
ゾッとする程冷たい瞳。涙を流すあの女。
何で。如何して。だって。
『ぁ...』
発した音は言葉には成らなかった。何を言いたかったのかも分からない。
ただ悲しくて愛されたくて憎かった。
「___」
あの女が震える手を__に伸ばしていた。
私と同じように言葉に成らない音を発して。
何で?如何して?裏切った貴方がそんな顔をするの?
*****
嗚呼嫌な夢を見た。
暫く見ていなかったのに誰かさんが来なくなってまた見るようになった。
只、最近は幸せだった頃の夢しか見ないのだけれど。最後まで見る前に小さな身体が起こしにくるから。
近くに転がっている筈の小さな身体に手を伸ばした。
あの高めの体温を感じて安心したかった。
其れにしても何故今日は起こしに来なかったのか。普段なら撫でろやら抱けやら頼んでくるのに。
『え...?』
手を伸ばしても掴めなかった小さな身体を探そうと身を起こし、辺りを見渡して息が詰まった。
ぐったりと横たわる小さな身体。
自らの吐いた血液でふわふわの毛が赤黒く染まっている。
そっと触れればひんやりとしていた。
それでも弱々しい呼吸は生きている事を教えてくれた。
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作者名:とと | 作成日時:2019年9月10日 19時