【テニプリ】君と夢を見た日。【短編集】

騙された方がいい罠もある【丸井ブン太】 ページ11

その瞬間、俺、丸井ブン太は思い出した。
自分はこのトラップに、一度かかった事があることを＿＿


俺の机の上に謎のメモが乗っていた。ええと、なになに？「お前の菓子は預かった、返してほしくば空き教室に来い？」

はっとしてがさがさとバッグの中を漁る。確かにない、ない！今朝買って食べるのを楽しみにしていた新発売のガムが！

あーもう誰だよ、俺は仮にも今日誕生日なんだぞ？わざわざ不幸を与える事はないだろ。メモの内容間違ってるぞ、正しくは「お前に菓子をくれてやる」だろぃ。ああ胸糞悪い。

とにかく、取り返さなくては。俺の大事な大事な命の源を。待ってろよ、必ず迎えに行くからな！


……そんなこんなでガムが誘拐され捕らえられているであろう空き教室の前へとついたが、……真っ暗。ドアに何故か付いているカーテンは閉じられてるしその間から光が漏れてくる気配もない。絶対人いないって、じゃあなんの用だよマジで。

そんな感じで、でも一応中に入ろうとドアに手をかけた瞬間。それが冒頭のシーンである。


＿＿あれは確か、夏休み終わって初日？だっけ？提出が2日目だから次の日なのにあいつは課題が終わってなくて俺の楽しみにしてたお菓子を人質にとられて手伝わされたんだよな。
……てことはまさか、またか？

ごくりと唾を飲んだ。まさかまた、あいつにめんどくさい事を手伝わされるのか？

逃げようか、でももういるのバレてるだろうしなぁ。

仕方ない、心を決めて勢いよくドアを開けば突然パン、という大きな音がなりぱぱっと光がついた。

「ブン太、誕生日おめでと〜！」
「へ？」

我ながら思わず情けない声を出してしまった。真っ先におめでと〜と言ったのはあの日あの時悪魔のような笑顔を見せていたあいつ、＿＿俺の彼女。

そして、周りでは見覚えのあるみんな、＿＿テニス部のみんながこれまたお祝いしてくれている。

いや何が驚きかって真田がこれを許可してくれてんのもそうだけどまさか、なんかの罠だと思ってたのに。

「どう？びっくりしたでしょ？サプライズ大成功だよね！」
「おまえっ、まさか……！」
「うん、わざとあの日と同じ感じにやってみたの。その方が面白いかなぁって」

思わずははっと笑ってしまう。そっか、それなら最高の誕生日だな、でもその前に、人質になった俺のガムは？

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