鬼舞辻無惨が初めて鬼にした元人間は人を助けるそうですよ？ (ページ8)

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漆.鬼狩りの柱とページ8

鬼の顔を見て、少し口角を上げて口を開いた。

『久方ぶりじゃの。と言っても最後に会うたのは何時だったか見かけただけじゃったか分からぬがな。

…はて、お主名をなんと言ったかのう？』

「ｯ零様！！！

一体今まで何処に…！！」

ちらりと後ろに庇っている柱を見る。

刀を地面に刺して寄りかかり、何とか立ち上がっている様子で、もう呼吸をするのも絶え絶えで苦しそうだ。

『悪いが、今日のところは退いてはくれぬか？

私様とて、何度か会うた事のある者をこの手で殺めるには、ちと心苦しいのじゃ。…のぅ、参番。』

にっこりと上弦ノ参に笑顔を向ける。
すると、私様に吹っ飛ばされた腕を再生して、私様に向かって上弦ノ参は話し始めた。

「何故、人間など庇われるのですか？！

いえ、今はそれよりもあのお方が零様のことを大層探しておられました！戻って来てください！」

『私様はあの痴れ者(無惨)と違って、人間が好きじゃからの。

人を庇うのはそれ以外に理由は無いのじゃ。

きっとお主の目と耳を通じて無惨にも聞こえておるじゃろうが、私様と無惨では、求めているものが真逆なのじゃ。

だから、私様はもう無惨の所へは二度と戻らん。
彼奴の…鬼の味方になることも無い。

…して参番よ。お主はどうするのじゃ？

大人しく退くか、ここで私様に殺されるか。はよ決めてたも？』

ちょっとばかりの殺気を参番に向けて飛ばしてやると、冷や汗をかき、陽が昇るのもあいまってか大人しく帰っていった。

上弦ノ参が見えなくなるまで見届けた後、鬼から庇っていた男の様子を見ようとくるりと踵を返し、振り返ると、息も絶え絶えながらも私様に刀の切先を向けていた。

その瞳はまだ闘志を燃やし、消えてはいなかった。

「君は…」

ゴフッと血を口から吐き出す男。

『…鬼狩りの柱よ。炭治郎に感謝するのじゃぞ。

炭治郎が私様に念じておらねば、今頃お主は死んでいたからの。

…が、そのまま放置しておったら、治療する頃には死んでおるじゃろなぁ。

じゃが、炭治郎からはお主を助けて欲しいとの事じゃ。

ちと、破廉恥じゃが急を要する故許せ。』

力が入っていない男の手から刀を手ではじき落とし、男よりも身長をぐぐっと高くし、逃げられぬよう男の後頭部を右手で抑え、接吻をする。勿論深い方だ。

「むｯ？！」