鬼舞辻無惨が初めて鬼にした元人間は人を助けるそうですよ？ (ページ45)

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肆拾肆.合同強化訓練ページ45

草履を脱ぎ、禰豆子の草履も脱がせて揃える。

そして足早に、炭治郎がいると思われる部屋へと直行する。

途中廊下で変なひょっとこを付けた男とすれ違ったが、特に気にも止めず、一刻も早く炭治郎へ会いたかった。

引き戸を開けて部屋へ入ると、そこはもう荒れに荒れていた。

窓ガラスは割れているし、伊之助は合同強化訓練なるものが始まると騒いでいるし、隠の男は一生懸命伊之助を止めようとしているし、炭治郎は伊之助へ質問をしているが解決していない。

一通り話を聞いた後、私様は口を開く。

『なるほどの。

"強いやつ""稽古"というのは、恐らく柱の事じゃろうな。

あぁ、杏寿郎もしのぶも話があると言っていたのはそのことに関してじゃったのだろうか？』

片手で禰豆子を抱き、空いている方の手で顎に手を当て考える。

いや、しかし、杏寿郎はもう柱を引退しているはずじゃ。

…もしや、杏寿郎も稽古を付けるつもりではあるまいな？

そう考えていると、炭治郎が私様へ気づいたのか、こちらも笑みを向けてくれる。

どうやら空気を読んでくれたのか、気を遣ってくれたのか、隠の男は部屋を出て行ってくれた。

炭「Aさん！！！禰豆子！！！」

『しのぶからは、臥せっていると聞いていたので未だに意識が戻らんのかと思って心配したのじゃ。

その食欲と元気があるのならば、大丈夫そうじゃな。』

炭「はい！！

あ、禰豆子がすいません…」

未だに私様の腕の中にいる禰豆子が離れたがらないのを見て、申し訳なさそうに眉を下げる。

『よいのじゃよいのじゃ。

お姉ちゃんに任せてたも。そうじゃろ、禰豆子？』

禰「おね、ねぇちゃ…！」

顔を見合わせて、笑い合う私様と禰豆子を見て炭治郎は呆けた顔をしていたが、次の瞬間にはとても綻んでいた。