肆拾弐.人へと近づく身体 ページ43
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煉獄家から飛び出してから蝶屋敷まで、お世辞にも近いと言えない距離を休まずに走り続けた。
私様は今にも転けそうになる覚束無い足取りで、蝶屋敷の敷居を跨ぎ、縁側へ倒れ込む。
この体も薬の投薬を何度も何度も行い、少しずつ人間に近づいているせいか私様の体力にも制限が付き始めているようで、
何千年ぶりに息が乱れ、肩が上下して、息の整え方を忘れているかのように、ぜぇぜぇと少しばかりか過呼吸気味になっている。
全く呼吸が追いつかず、脳まで酸素が行き渡らない。
酸欠で目の前が霞み、口の中は鉄の味ですらしている。
苦しい肺を抑え、急いで脳へ酸素を送ろうと、大きく息を吸ったり吐いたりする。
そんな私様を見てか後からやってきた杏寿郎が慌てた様子で今にも倒れそうな私様の体を支え、私様が大好きなその安心する声で落ち着かせてくれる。
杏「…A、その呼吸は駄目だ。
吸った息をゆっくり10秒かけて吐き出すんだ。
大丈夫、大丈夫だぞ」
そう言って背中を優しく撫でてくれる杏寿郎。
『フーッフー…ッ
…ッすまなかった、もう、大丈夫なのじゃ。』
さすがに今のはやばかった、ありがとうとたらりと冷や汗を垂らしながら私様が杏寿郎の顔を見ながら、そう言うと、杏寿郎は懐から出した手拭いで私様の額の汗を拭い、微笑みながらうむ!大丈夫だ!俺はいつでもAを支えてやろう!と答えてくれる。
すると廊下を歩いてきていたしのぶに声をかけられる。
し「もしもーし、そこの御二方。
ここは逢瀬の場所ではありませんよ?」
『なっ!!しとらんのじゃ!!!』
顔を赤く染め、バッと杏寿郎から離れる。
一方杏寿郎の方は満更でもなさそうに笑っている。
『そ、それより、鴉の伝言は本当なのかの?!』
し「えぇ、今炭治郎くんは病室で伏せっています。
禰豆子さんは今はアオイ達と庭にいますよ。」
それを聞いた私様は、再度駆け足でまずは庭へと向かう。
どうやら杏寿郎は、しのぶと話があるらしく、後で向かうと私様の背中へ声をかけた。
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まゆ(プロフ) - 煉獄さんかっこよすぎて涙が止まりません〜!! (2021年1月30日 22時) (レス) id: 89f8187042 (このIDを非表示/違反報告)
琥夜(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!!頑張らせていただきます! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 26d85f93d6 (このIDを非表示/違反報告)
琥夜(プロフ) - 陽菜乃さん» コメントありがとうございます!頑張りますね! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 26d85f93d6 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 更新頑張って下さい! (2020年12月31日 22時) (レス) id: 89f8187042 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜乃(プロフ) - とても面白いです!更新頑張って下さい! (2020年12月19日 20時) (レス) id: df882a4b22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥夜 | 作成日時:2020年12月11日 1時