肆拾壱.煉獄家での日々 ページ42
私様は自分でも驚く程に平和な日々を杏寿郎と煉獄家で過ごしていた。
ある日は、私様が洗濯物を干していると、それを縁側で見ていた杏寿郎が凄く難しそうな顔をして唸っていたので気になって聞いてみた。
『何をそんな難しそうな顔をして私様を見ておるのじゃ。』
流石の私様でもそんなに見られると体に穴があきそうじゃ、ほれ用がないなら洗濯物を干すのに私様の気が散ってしょうがないから退いてたも。と洗濯物を物干し竿に掛け、シワを伸ばしながら自身の背中へ声を掛ける。
未だに背中へ向けられる視線が気になって気になってしょうがない。
すると一呼吸を置いた杏寿郎がその整った唇を動かし、嬉しそうに言葉を紡いだ。
杏「いや、こうして改めてAが家事をしている姿を見ると夫婦のようだなと思ってな!」
そう言って私様に微笑む杏寿郎に、その微笑みに当てられた私様はすぐさま手に持っていた布を杏寿郎の顔面へと投げつける。
杏「む!何をするんだA!
…A?」
『う、うるさいのじゃ!!
少しその口を閉じてたも!!!!
…ッこっこっちも見るんじゃないのじゃ!!』
右手を前に出し左手で真っ赤になっている顔を隠す。
すると私様の顔を見た杏寿郎も少し顔を赤く染める。
そして、いつもより大きな声で、
杏「ッ…その顔はずるいな!!
期待してしまう!」
そう言っていつものように笑う杏寿郎に、つかつかと近づき、彼の手の中にある洗濯物をひったくる。
そのひったくった洗濯物で私様は口元を隠す。
『…も、もう少し待っておれ。』
私様がそう言うと、ぽかんと呆けた顔をする杏寿郎。
恥ずかしく耐えられなくなった私様は、杏寿郎の意識が戻らぬ内に急いで洗濯物を干し終わり、籠を持って屋敷の中へぱたぱたと入る。
すると後ろから、杏寿郎のハキハキした嬉しそうで大きな声が私様の背中へかけられた。
杏「ッ期待してもいいのだな!!!!
俺はいつまでも待ってるぞ!!!!A!!!」
私様は逃げ込むように自室へ入り、襖を閉めて襖を背もたれしに火照った顔を両手で押えながら、小さな声で「ッほんに喧しい奴なのじゃ」と呟いたりした日なんかもあった。
と言った具合に、それなりに充実した日々を平和に過ごしていると、杏寿郎の鴉から杏寿郎へそして私へと連絡が届いた。
その知らせを聞いた私は一目散に蝶屋敷へ駆けていく。その私様の後を杏寿郎が追いかけた。
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まゆ(プロフ) - 煉獄さんかっこよすぎて涙が止まりません〜!! (2021年1月30日 22時) (レス) id: 89f8187042 (このIDを非表示/違反報告)
琥夜(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!!頑張らせていただきます! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 26d85f93d6 (このIDを非表示/違反報告)
琥夜(プロフ) - 陽菜乃さん» コメントありがとうございます!頑張りますね! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 26d85f93d6 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 更新頑張って下さい! (2020年12月31日 22時) (レス) id: 89f8187042 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜乃(プロフ) - とても面白いです!更新頑張って下さい! (2020年12月19日 20時) (レス) id: df882a4b22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥夜 | 作成日時:2020年12月11日 1時