肆拾.そう遠くない事への準備 ページ41
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それからの日々はとても目まぐるしく過ぎていった。
御館様からしのぶと珠代へ例の無惨に対抗しうる薬の件での話をつけてもらったり、その2人への協力として大嫌いな採血を受け、床へ臥せってしまった御館様からの呼び出しで悲鳴嶼と赴いたり、兎に角私様に出来ることは何でも協力した。
更に予定よりも異常な速さで進んでいる試作品の薬の開発。
試作品という効果も副作用も分からない人間へ戻る薬を私様が率先して、実験体になり効果を試す日々が続く。
薬の投与をする度に、初めのうちは意識が自分の意思と反して暫く飛んでしまったり、耐え難い激痛を体が襲い動けなくなってしまった時など何度も杏寿郎に介抱してもらった。
それ以来、投与の反動が無くなった今でも杏寿郎は私様に体調に異変は無いか心配する言葉や人間へ戻る努力をしている私様にありがとうと感謝の言葉をかけてくれる。
更に杏寿郎とは、杏寿郎の頑なな申し出により、今では私が煉獄家へ転がり込んでしまっている形になっており、杏寿郎の弟である千寿郎に1から教えて貰いながら家事もしていたりする。
それこそ今時の人間の娘がすることを教えて貰いながら好きなだけ自由にさせてもらえている。
当然、挨拶に行った時はそれはもう千寿郎は私様に怯えに怯え、父である槇寿郎に至っては、飲んでいた酒をダラダラと畳へ零す程口を開けて驚いていた。
そりゃ、いつものように帰ってきた一家の長男坊が、突然上弦ノ零と言う鬼を連れ帰り、代々優れた鬼狩りを排出してきた名門の名家の敷居を上弦ノ零が跨いで訪問に来たら誰だって驚く。
更にその上弦ノ零が現当主の実の息子である鬼狩りの心を射止めて、何を考えたのか同棲するために家族に挨拶に来たなんて前代未聞だ。
最初こそ警戒はされたし、弟君に怯えられていたがそれでもやはり杏寿郎の家族と言うべきなのか、何故私様は人間の味方なのか、杏寿郎に惚れられているのか等幾つか会話を交えるとあっという間に私様は煉獄家に馴染んでしまった。
今では普通の女子のように扱ってもらい、自分ですらも時々鬼であることを忘れて生活してしまう始末。
それほどまでにも煉獄家での日々は、この数千年間生きてきた中でも一番充実していた。
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まゆ(プロフ) - 煉獄さんかっこよすぎて涙が止まりません〜!! (2021年1月30日 22時) (レス) id: 89f8187042 (このIDを非表示/違反報告)
琥夜(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!!頑張らせていただきます! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 26d85f93d6 (このIDを非表示/違反報告)
琥夜(プロフ) - 陽菜乃さん» コメントありがとうございます!頑張りますね! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 26d85f93d6 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 更新頑張って下さい! (2020年12月31日 22時) (レス) id: 89f8187042 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜乃(プロフ) - とても面白いです!更新頑張って下さい! (2020年12月19日 20時) (レス) id: df882a4b22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥夜 | 作成日時:2020年12月11日 1時