鬼舞辻無惨が初めて鬼にした元人間は人を助けるそうですよ？ (ページ5)

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肆.鬼の血と血鬼術ページ5

炭「そうだ、陽の光なら…！」

『私様は、陽の光にすら好かれておっての。

無惨が今日(こんにち)まで克服しとらぬ、陽の光を鬼になってから早々に克服しておる。』

残念じゃが無理なのじゃ。と零す。
更に自分のことのように苦しそうに顔を顰める炭治郎に優しく笑いかけ、再度口を開いた。

『…炭治郎、禰豆子を私様の友らの願いより、助けることをここに誓おう。

これが何百年と生きた年寄りの唯一の楽しみなのじゃ。

あぁ、そうじゃ、禰豆子。私様の血を少量飲むのじゃ。

いつになるかはわからんが、何れ禰豆子も陽の光を克服でき、陽の下を歩ける。

…良いじゃろ？炭治郎。』

炭「え…えぇ。ほら禰豆子。」

炭治郎に禰豆子の口枷を一時的に取ってもらう。

人差し指の先を爪で傷つけ、禰豆子の舌へ一滴たらす。

すると禰豆子は深く眠ってしまった。

炭「禰豆子！！」

『大丈夫じゃ。

私様の血が濃くて一時的に眠ってしまっただけなのじゃ。』

炭「そ…か。良かった…。」

『炭治郎。お主は本当に優しいの。

今まで長男として中々甘えられず、沢山のものを犠牲にし、我慢しそれでもまだ何か使命を持って鬼狩りをしておる…大変じゃったろ。

よく今まで頑張ってきたの。』

炭治郎と眠ってしまった禰豆子を抱き寄せ、頭を撫でる。

『私様は、お主らのことを応援しとるでの。

遠慮なく頼るといいのじゃ。

私様で良ければ、いつでも慰めてやるし、助けてやる。』

知らず間に炭治郎の目から涙が零れているのを、裾で拭ってやる。

『さ、そろそろ夜明けじゃ。

元々お主が行くべきだった場所へ飛ばしてやるのじゃ。

-血鬼術天御鳥命(アメノミトリ)-』

右手で手を翳した場所に、歪んだ空間が現れる。

『そこを通れば、炭治郎が目指していた場所に直ぐにたどり着くのじゃ。ほれ。』

禰豆子を箱の中に閉まってやり、食べきれて腐らない程の量の食べ物を包んで持たせてやる。

『気をつけての。困ったらその珠に念じて、いつでも私様を呼ぶのじゃ。』