参拾参.鬼舞辻の妻 ページ34
次に目を覚まし初めて目に入ったものは、あの男の満足気な顔と見知らぬ屋敷の中だった。
「これでお前も私と同じだ。
…さぁ、食え。」
男は笑みを浮かべ、ドシャと父上と母上の亡骸を目の前に無造作に投げられる。
食えるはずが無いだろう!!そう心の中で怒気を含め言う…が、何故か頭では"美味しそう""いい匂いお腹空いた"と同時に唾液がぽたぽたと床へ落ちる。
すぐさま着物の袖で唾液を拭うが、唾液は収まらず、次から次へと唾液が顎を伝い空腹感が押し寄せる。
「食えば楽になる。
お前はもう人間では無い、鬼だ。
私と同じ人間を食えば食うほど強くなれる存在だ。さぁ、遠慮するな。」
母上の腕をもぎ取り、妾の顔の目前まで持ってくる男。
妾は、男が差し出す母上の腕と男の顔を一瞥し、唾を飲む。
次の瞬間、腕には目もくれず、男に襲いかかった。
男の首元に噛みつき、肉を噛みちぎる。
ブチッと肉の繊維が千切れる音が響き、男はさらに満足気に首元を抑えながら、口を開いた。
「人間は意地でも食べない気か…
まぁいい。この飢餓は誰にも耐えられん。
お前は、私の妻だ。今後の食料は、特別に私の血肉を提供してやろう。」
グイッと引き寄せられ、無理矢理接吻をされる。
「私の名前は、鬼舞辻無惨だ。
それに、私の呪いの類を一切受けていないとは、やはりAは私にとって特別な存在になる。」
そう終始満足そうに話終えると、パッと掴まれていた腕を離され、男は妾に背を向けて一室を出ていった。
1人残された、部屋でポツリと男の名前を漏らす。
『鬼舞辻…無惨…』
絶対に無惨だけは許さない、復讐してやる。と妾の近くに横たわっている両親の亡骸に誓った。
この日から毎日無惨に監視され、無惨の血肉を分け与えられ、どんどん人間とはかけはなれていく容姿と力。
それに無惨は、妾の他にどんどんと鬼は数を増やし、とうとう階級まで付け始めた。
妾は、無惨に1番血を分けてもらっている鬼とお気に入りであるとして、上弦ノ零という階級を有無を言わさず瞳に彫られた。
それから数百年。何度も何度も血鬼術を練習し、異形の姿になる練習もし、何度も陽の光に自分から焼けるような痛みに耐え克服しようとし、逃げ出す機会を伺った。
そして、無惨の監視が緩み陽の光を克服した時に絶好のチャンスが舞い降りた。
すぐさま私様は無惨が追いかけてこられない日中に行動し、とうとう無惨の元から逃げ出した__。
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まゆ(プロフ) - 煉獄さんかっこよすぎて涙が止まりません〜!! (2021年1月30日 22時) (レス) id: 89f8187042 (このIDを非表示/違反報告)
琥夜(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!!頑張らせていただきます! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 26d85f93d6 (このIDを非表示/違反報告)
琥夜(プロフ) - 陽菜乃さん» コメントありがとうございます!頑張りますね! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 26d85f93d6 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 更新頑張って下さい! (2020年12月31日 22時) (レス) id: 89f8187042 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜乃(プロフ) - とても面白いです!更新頑張って下さい! (2020年12月19日 20時) (レス) id: df882a4b22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥夜 | 作成日時:2020年12月11日 1時