壊すに長けたこの掌を【死柄木弔】 (ページ7)

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その人は大きくなったページ7

次に目が覚めたのはその日の朝…ベッドには私一人だけだった。
乱暴にやられたからか腰が痛い。ムキになっちゃって子供か。

無残にも脱ぎ捨てられた服を着ているとき、バーの方から話し声がする。多分声からして黒霧と弔…また呑んでいるのか…弔が酔うと面倒だから呑ませるなって言ったのに…！それに朝っぱらから何呑んでんのよ馬鹿じゃない？

「黒霧、弔に呑ませるなって言っ…」

[宣誓…俺が1位になる。]

テレビから聞き覚えのある声。いや違う。忘れるはずが無い

『勝己…』

零れるように言った言葉。弔がピクリと反応すると同時にテレビの電源を切る。
そのままゆっくりとした足取りで私に近づく。流石に今のはまずかっただろうか。思わず後退りをしそうになる…したら余計に怪しいから動かない方がいい…。
僅かに動く体を無理やり抑えるように体に力を入れた。

「……おはよう」

思っていた反応と違い一気に体の力が抜ける。挨拶が帰ってこないで僅かに不機嫌になった弔が２度目の挨拶をした。
そんな余裕もなく力が抜けたせいで座り込みそうになる。咄嗟に弔が支えてくれたから床に座り込むことは無かった。

『おはよう…』

「……腰？」

『え？あぁ。ちょっと辛いかな』

「…そう」

何故か機嫌がいい。むしろ気味が悪い…うわ、鼻歌歌ってるどういうこと…
さっきまで自分が座っていた場所に戻ると弔はこっちを見てニヤニヤと笑みを浮かべていた。

「下手くそじゃないでしょ」

気にしてたのか…。
相変わらず子供っぽいところがある…適当に「はいはいテクニシャン」と返せばまた上機嫌になり。消したテレビの電源を入れる。

テレビにはさっきの男の子は映っていなかった。