壊すに長けたこの掌を【死柄木弔】 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:10,881 hit

その声は暖かかったページ4

そんなに錆びていない遊具。
見覚えがある場所だ…いや、見覚えしかないがちょっと昔に戻ったような…。

「ふっ、…うぅ…」

あぁ、なんだこれ夢か
そこに小さい頃の俺が目の前にいる。夢以外に何があるってんだ。

…多分個性が発現する前。確かに俺は隠れて泣いた。
幼稚園の時に好きだった先生が結婚した時とか…オールマイト人形が売り切れた時とか。そういう小さいこと大きいこと問わない…一つ一つが気に入らなくて…ただただ泣いていた。(今ならキレるだろう)

「勝己。」

俺の後ろから女の声がした。

『あ？』

思わず返事をして後ろを向くがそれと同時に女は俺の体を通り抜け。小さい俺の方に行った。

あぁ、夢だからこういうこともあるのか。

女の背格好は小さい俺よりも少しでかい。小学生位だ
俺を呼び捨てにした。この頃…そんな知り合いいたか？

何かが引っかかって思い出せない。

「勝己ー！……！帰るわよー」

今度は公園の入口。若い頃のババァ。

帰るってことはこの女も…？
なんだこの女…。何者なんだよ。

チリン…

鈴の音が公園に響き。俺は目が覚めた。

体育祭が控え時期は夏の少し手前。蒸し暑いが俺の個性が生かせるから夏は嫌いじゃねぇ。

いつもならここで二度寝とくるがなんでか分からねぇ今日はそんな気分になれねぇ。
だから1階に降りた時はババァに血相変えられた挙句に熱まで計ることになった。分かってるとは思うが俺は平熱だ。熱なんてねぇ。

暑くて寝苦しかっただけだ。そういうとババァは驚かせるなっつって俺の頭をいつものように叩いてきた。

早起きな俺に起こしに行く手間が省けて機嫌がいいのかババァは鼻歌交じりにキッチンへ戻った

『おいババァ』

「んー？」

『ガキの頃…この家に誰か住んでたか？…俺より年上の女…』

ｶﾞｼｬﾝｯ…