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Daisuke
康二のそばにずっといてあげたい気持ちはやまやまだけど、そもそもPICUでは10分程度の面会しかできない。
大人でもそれだけしか入れないんだ、中学生の蓮は部屋に入ることすらできないんだよね……。
ずっと窓に張り付いてても邪魔だし、一旦休憩しようと談話室へ。
ソファに腰を下ろしたタイミングで、スマホが着信を知らせた。
電話をかけてきた相手は辰。
ちょうど電話ができる場所に移動したタイミングでかけてくるなんて、さすが双子!なんて、適当に電話を取った俺とは裏腹に、辰の声はめちゃくちゃ焦っていた。
「っ、もしもし、大!蓮がいない!」
「……は?」
「さっき学校から電話かかってきて!学校来てないって、家にもいなくて」
「え…なんか、学校行く時に体調悪くなっちゃったとか…」
「違う、蓮の…制服は、あるんだ」
「……ぇ」
制服はあるのにいないって……一人でどこかに行ったか、何かに巻き込まれたってこと……?
頭が真っ白になって、体が固まる。
喉が引き攣って、ようやく出た声はカラカラに乾いていた。
「ちょっ、と、康二のこと、相談して一回帰る」
「うん、頼む」
「なんか、ないの?どこか行きそうとか、」
「ちょっと、探してみる」
制服を置いていってるってことは、家出ってこと……?
いや、今までそんな、変わったことはなかったと思うけど……。
パニックになった頭が急にぐるぐる動き出して、はっと気付く。
変わったことはないと思ってたけど……それって、俺たちが、勝手にそう思ってただけか……?
「っ、あべちゃん!あの!」
「おわっ、何?」
「蓮が、」
蓮のことはめちゃくちゃ心配だけど、もう一人の弟もさっき俺の目の前で呼吸を止めてしまったわけで。
ちょうど近くを通りがかった親友に泣きつくと、きりっとした顔で背中を押してくれた。
何かあったら、すぐ連絡するって。
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ぴの(プロフ) - 森乃さん初めまして。森乃さんの書く文章は本当に心が引き込まれて頭の中に情景が浮かびます。全ての作品が大好きで、本当に素敵で言葉が出ないほどです!これからも森乃さんの作品を読めることを楽しみにしています。寒い日が続きますが体調に気をつけてください! (2023年2月16日 23時) (レス) id: 242c5ad575 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 初めまして。とても素敵で大好きなお話で、続きが気になります…!更新心待ちにしています。 (2023年1月20日 2時) (レス) @page25 id: 3aca065927 (このIDを非表示/違反報告)
森乃(プロフ) - スラマッパギさん» コメントありがとうございます!時間を見つけて更新していきますのでこれからも応援よろしくお願いします(^^) (2022年11月9日 8時) (レス) id: 1f323a239b (このIDを非表示/違反報告)
スラマッパギ(プロフ) - このお話大好きです!無理なさらない程度で更新、お待ちしております!! (2022年11月8日 11時) (レス) @page15 id: 9a46ab8bc5 (このIDを非表示/違反報告)
森乃(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます(^^)ちまちま更新していきますのでお付き合いいただけますと幸いです。 (2022年11月4日 9時) (レス) id: 1f323a239b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:森乃 | 作成日時:2022年10月30日 9時