▽ ページ14
Riku side
あれから俺は無意識のままリビングへ向かい、ソファに座り込んでぼーっとしてしまっていた。何の感情のこもってない声、そして表情のない顔。その全てが衝撃で、嬉しくて、恐ろしくて、愛おしくて、怖くて。
｢ぁ、やましょ...。｣
しばらくすると意識がはっきりしてきて、部屋に篭ってしまったやましょーの元へふらふらと向かった。
｢...ね、ねぇ、やましょー？｣
こんこんとノックをして、自分でも笑えるくらい震えた声で呼びかける。でも、いくら待っても物音ひとつ聞こえてこない。
｢や、やましょー？っねぇ、怒ってる？、も、っもうしないから...っ。ねぇ、しょうごっ...！｣
いよいよ反応が一切ないことが恐ろしくなってきて、普段だったら怒られるけど、そっとドアを開けて中を覗く。
｢...しょうご......？｣
そこには人の気配はおろか、明かりすらなかった。すうっと血の気が引く音がして、慌てて震える足で家中を探し回る。だけど、どこにも彼の姿はなくて。恐る恐る玄関へ向かえば、いつも彼が出しっぱなしにしているサンダルがなかった。
｢っ、...ひゅっ、｣
なんで。どうして。どこ行ったの。そればかりが頭の中をぐるぐると回って、慌てて携帯と財布だけを持って家を飛び出した。
｢けほっ、げほ...っ、｣
家から近いスーパーやコンビニ、公園も全て回った。だけど、求めてる姿はどこにもなくて。そのうち、初夏の夜の肌寒さにぶるっと体が震えたことで、ふと自分が上着を着ていないことを思い出す。流石に風邪なんて引いてられないのは分かってるから、一旦家に戻ろうとマンションの玄関まで来た時。
｢しょうごっ！｣
見慣れた後ろ姿を見つけて、急いで駆け寄る。
｢...は？何しとるん？｣
｢っ、けほ、だって...！へ、部屋見たら、...い、いないから、っくしゅ...っ！｣
｢だからって、なんで上着も着んで外出とる！？｣
俺が半袖のままな事に気づくと、眉間に思い切り皺を寄せて怒鳴る彰吾。びっくりして思わずびくっと肩を縮ませれば、はぁっと重たいため息がひとつ。
｢...もうええ。｣
そう一言ぽつりと呟くとぐいっと腕を引っ張られ、気づけば家のお風呂場にいた。
｢ちゃんと、温まって、きて。｣
一つ一つ区切って強調するように、言い聞かせるように言うとバタンと閉まった扉。途端、何の音も聞こえなくなった事が怖くなって、思わず視界がぼやける。
｢...ｯぐす、｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 321人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にのみい(プロフ) - いつもお話楽しみにしていますーー！スリボで陸さん受けが読みたいですー！！ちなみになんですけどTwitterは浮上しないのでしょうか？🥺不快に感じてしまったらすみません💦 (2022年2月13日 20時) (
レス) id: 337b13da5d (このIDを非表示/違反報告)
彩美 - 陸さん出てるの嬉しいー！かずりく好きなので読めると嬉しいです。 (2021年4月9日 12時) (レス) id: 29e05ea114 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Shion | 作成日時：2021年3月1日 20時
