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Kazuma side
なんとなく心もとない気がして目を覚ますと、抱きしめて寝たはずの恋人がどこにもいなくて。
「...は、りくっ......?」
慌ててリビングへ向かえば、ひらひらと二人で選んだ白のカーテンが風に揺れていた。そっと近づいて外を覗くと、そこには寒そうに身を縮こませながらもキラキラとした顔で夜空を眺める愛しい恋人の姿が。
「...りく。」
「ひゃっ!?」
特に理由はなかったけど、そーっと近づいて抱きしめれば思った通りの反応が返ってくる。...ん、やっぱりこれが一番落ち着く。
「もうどこにも行かないよ。俺の居場所はここだもん。」
まだ二人で暮らし始める前。度々出てきては俺を苦しめていた悪夢。ふとその悪夢をまだ見るのかと聞かれて、咄嗟に誤魔化したけどやっぱりそんなことはお見通しで。素直に答えれば、真剣な顔で安心させてくれる、嬉しい言葉が返ってくる。あぁ、やっぱり俺この人じゃないとダメだ。
「あ、そや。ちょっと待っとって。あっ、寒いからこれ。」
「へっ?う、うん...。」
照れ隠しも込めて、ばさっと自分が羽織っていたブランケットで包んで、ある物を取りに寝室へ戻る。どこやったっけ...。
「あったあった。」
自分しか分からない場所に隠しておいた物を無事に見つけて、急いで恋人の元へ戻る。
「お待たせ。」
「んーん、?それ...?」
「んっ、左手貸して?」
「左手...?」
不思議そうにしながらもすっと目の前に出された手を握って、箱から取り出したある物...、指輪をそっと薬指にはめる。良かった、ぴったり。
「え、えぇ、こ、これ...っ。」
「本当はもっとちゃんと渡そうと思とってんけど。...気に入った?」
「〜〜っ!もぅ...こんなの、気に入らない訳ないじゃん〜っ!」
「え、ちょ、なんで泣いてん...!」
「だってぇ...、っく、うれ、うれしくて〜っ!」
堪えきれなくなったのか、とうとう真剣に泣き出してしまった陸。ここまで喜んでもらえるとは思わなかったけど、嬉しくてなんだかふわふわとした気持ちになる。っやば、俺まで泣きそう。...しっかりしろ。まだあれを言ってない。
「俺の残された時間の全てをあげる。だから。陸も残りの時間全部。俺にください。」
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rtk._27(プロフ) - あの曲とはドーベルのずっとですか? (2021年1月12日 21時) (レス) id: 74edc928b6 (このIDを非表示/違反報告)
りーみー - とても面白かったです。色々書いてください。楽しみにしてます。 (2021年1月12日 1時) (レス) id: 30b38fa8ac (このIDを非表示/違反報告)
りな - やましょーさん受け最高過ぎんか…((白目))これからもやましょーさん受け増やしてほしいです!あと、更新がんばってください! (2021年1月10日 21時) (レス) id: 933a2973a0 (このIDを非表示/違反報告)
はろー - めっちゃ面白いです!更新、楽しみにしてます! (2020年11月12日 17時) (レス) id: 079e87463c (このIDを非表示/違反報告)
(名前)めぐ(プロフ) - リクエストありがとうございました とても良かったです これからもリクエストするかもしれませんがよろしくです 更新頑張ってください 応援してます (2020年10月7日 16時) (レス) id: a83f488625 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shion | 作成日時:2020年8月20日 18時