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Kenta side
「んぁー、やっぱりだめだぁ...。」
集中しなきゃいけないのは分かってるんだけど、どうも調子が出ない。
「あぁーー。」
休憩中。自販機の横に置いてあるソファにぐでぇっと寄りかかる。今日の俺ダメだな。朝充電したのになぁ。
「やっぱここにいた。」
「んー?なぁに、もう?」
しばらくだらだらとソファにもたれかかって目を閉じていれば、ふっと顔を覗き込む人影。あれ、この匂い。
「いや、まだじゃけど。」
「そ?...座れば?」
隣にぼすんと座った彰吾の膝に頭を載せて、ごろんと寝転がる。やっぱりこれ俺の香水の匂いだ。...ふふっ。
「なっ、お、お前...!」
「ここ滅多に通らないから大丈夫だって〜。」
普段は外でくっついたりしないけど、今日は何だか甘えたくなった。結構落ち込んでんのかなこれ。
「...なぁ。」
「んー?」
「さっき。手、抜いとったじゃろ。」
あら。バレてた。誰も気づいてないと思ってたのに。
「どうせ誰も気づかん思うとったんじゃろうけどな。バレバレじゃ。」
「んふ。さすが。」
「次パフォーマンスするまで日ねえの分かっとるのか。」
あえてなのか、目を合わさないように遠くを見つめていた瞳が厳しい光を灯してこちらを見つめる。これ怒ってるな。まぁ、次パフォーマンスする舞台には昔お世話になっていた人達が来るから、より気合いが入っているのだろう。そんな中、一人でもやる気のないやつがいれば目立つし腹立つよね。
「ん、分かってる。ごめん。」
「...分かっとるならええ。俺も言いすぎた。」
じっと、真剣に目を見つめ返しながら謝ると、くしゃっと泣きそうな顔になりながら珍しく弱気な言葉が返ってくる。あーあー、もう。可愛い顔が台無し。体を起こして、今にも零れそうな涙をそっと指で拭う。
「なんでそんな顔するの笑」
「...っだって。」
「ん。」
すっと彰吾に向かって手を広げると、素直にぽすんと飛びこんでくる。大方、俺の気分がどうにもならない事を知ってるのにとか思ってるんだろうな。...方法ならあるんだけど。
「っは?...んん!?、ん、はっ...ゃあ...。」
顔を上げさせて思いきりどろっどろのキス。苦しくなったのかぎゅっと服を掴むから、つぅっと糸を引きながら離れる。
「っは。...ふふ。」
息を整えるのに必死な彰吾をぎゅうっと抱きしめながら、耳元でささやく。やっぱりこれじゃなきゃ。
「スイッチ入ったから。ありがと。」
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rtk._27(プロフ) - あの曲とはドーベルのずっとですか? (2021年1月12日 21時) (レス) id: 74edc928b6 (このIDを非表示/違反報告)
りーみー - とても面白かったです。色々書いてください。楽しみにしてます。 (2021年1月12日 1時) (レス) id: 30b38fa8ac (このIDを非表示/違反報告)
りな - やましょーさん受け最高過ぎんか…((白目))これからもやましょーさん受け増やしてほしいです!あと、更新がんばってください! (2021年1月10日 21時) (レス) id: 933a2973a0 (このIDを非表示/違反報告)
はろー - めっちゃ面白いです!更新、楽しみにしてます! (2020年11月12日 17時) (レス) id: 079e87463c (このIDを非表示/違反報告)
(名前)めぐ(プロフ) - リクエストありがとうございました とても良かったです これからもリクエストするかもしれませんがよろしくです 更新頑張ってください 応援してます (2020年10月7日 16時) (レス) id: a83f488625 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shion | 作成日時:2020年8月20日 18時