コイモノガタリ

▽ ページ17

○○hei side





｢しょーへい。｣
｢ひゃっ！？｣



恥ずかしすぎて顔を手で覆いながら悶えていれば、突然後ろから抱きしめられて耳元で囁かれた。...っ変な声出たじゃん！



｢っ！お、お前っ！なっ、何して...！｣
｢別にいいじゃん。それより、今日終わったらうち来るでしょ？｣
｢んっ...、い、行くからっ！とりあえず離れろ...！｣
｢絶対やだ。そんな事よりさ、今日は俺作るけど何食べたい？｣



そんな事って。俺にとっては一大事なんですけども！？助けを求めようにも、いつの間にか山彰さんは海青の所だし、俺らの周りには誰もいなくなってる。しかも何か力強くなってんだけど！？恥ずかしすぎて、何とか逃れようとバタバタと暴れ続けていれば。



｢ねぇ、○平。｣
｢なに！？｣
｢俺、お前と付き合えてほんとに良かったと思ってる。お前は違う？｣



さっきまでとは全く違って、泣きそうなほど悲しい声。後ろから抱きしめられてるし、顔を肩に擦り寄せて来るから、どんな表情をしているのか分からない。だけど、声があまりにも悲しそうで、今にも消えてしまいそうで。



｢ごめん。いきなりこんなの困るよな。｣
｢俺も！...良かったと思ってる。ちゃんと。だから、そんな泣きそうな顔すんな。｣



こいつの事だから、さっきの山彰さんとのやり取りを見て不安にでもなったんだろう。あの夜、樹はちゃんと言葉にしてくれた。だけど俺は、ほんとポロッと口から出ただけだったから、ちゃんと言えてなくて。ちょっとだけ気にしてた。ちょっとだけだからな。まさか楽屋で、しかもメンバーがいる所で言うことになるとは思わなかったけど、今度はちゃんとした言葉にして。



｢俺も樹が好きだよ。他の誰よりも好きだし、お前以外嫌だから。｣



ちょっとひよった。ほんとはあの時と同じように言おうと思ったのに。だけど、嬉しそうだし。まぁ、いっか。

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