３１日目. ページ31
_Noside_
Aは１ヶ月リハビリを続けた
一人で歩けるように。
それでも二人の距離は縮まる事はない
Aはずっと背を向けていた
もうすぐ２月にさしかかろうとしていた
外はまだ寒く、春は来そうにない
Aは一人で病院を出た
勝己にも緑谷にも何も言わず、着替えだけを持って。
「…どうしよ」
行くあてもなくただ猫のようにふらりと歩いていた
「は？退院した？」
「はい。爆豪様が許可をしたと伺っております」
「してねぇわ！！どこに行くっつってた！？」
病室に行くとAの姿はなく、荷物もなかった
何も無い部屋を見てあの日のトラウマが勝己を襲う
受付に聞いたところで行先はわからず病院を飛び出した
寒さで耳が痛い
歩道橋へ上り忙しなく走る車を眺めていた
あの日もこのくらい寒い日だったと思い出す
「…なんで、生きてしまったのかな…？」
眠っていた時よりも二人の距離は離れて、もうお互いが見えない
向き合おうとしてくれていた勝己の手を振り払い、拒絶した
「苦しいよ…勝己ぃ…」
自分では誤魔化せない勝己への想い
もし、勝己を許せたらまた笑い合えるのかもしれない
もし、勝己を許せたら二人は歩幅を合わせられるかもしれない
それでも過去の事を考えると躊躇ってしまう
冷たい頬に暖かい涙が流れる
また死んでしまおうか、と少し身を乗り出した時自分を呼ぶ愛しい声が聞こえた
「A！！」
「なん…で…？」
来て欲しくないのに、そんな慌てて走ってくるんだ
振り返ると肩で息をする勝己が立っていた
二人の長い髪が靡く
歩道橋の上、二人だけの世界のような不思議な感じ
外の音は聞こえず、心臓の音だけが鮮明に聞こえた
「なんで勝手に退院しとんだ…！」
「…っ…勝己こそ…なんで、来るの…？」
一歩づつゆっくりと勝己がAへ近寄る
それに肩をビクつかせた
「なんで、俺の前から消えようとすんだよ…」
弱々しい声に心臓がｷﾞｭｯと握られたように苦しい
喉に何かがつっかえて上手く息ができない
「勝手にどっか行くなっつっただろ!!」
「勝手にどっか行ったのは勝己じゃない…！」
Aの叫び声が勝己の足を止めた
「いかないでって…一緒いてって…いったのに…」
「……っ」
歩道橋の上はより寒く、より風が強かった
その風に小さな声はかき消された
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本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 普通に泣きました (2021年10月14日 20時) (
レス) @page50 id: 6f7b9e6ac6 (このIDを非表示/違反報告)
舞う猫(プロフ) - あんころもちさん» コメントありがとうございます！ハンカチを(*´｡•ω•)っ！！続編も是非読んでください！ (2021年10月10日 20時) (レス) id: 47a8fb4da4 (このIDを非表示/違反報告)
あんころもち - やばい…涙が止まらなくなって…最近涙腺ゆるゆるでして、。こんな切ない話がかける方本でも見たことないです！ (2021年10月10日 20時) (レス) @page17 id: 2dc02ddd04 (このIDを非表示/違反報告)
舞う猫(プロフ) - しゃけふれーくさん» コメントありがとうございますっ！５０話で終わらなくて申し訳ありません！！夜寝てしまうのですか…？基本夜に更新になります(￣^￣゜)… (2021年10月10日 18時) (レス) id: 47a8fb4da4 (このIDを非表示/違反報告)
舞う猫(プロフ) - 雨水さん» 50話で終わらなくて申し訳ありません！ハッピーエンドになるよう祈ってあげてください！！ (2021年10月10日 18時) (レス) @page50 id: 47a8fb4da4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：舞う猫 | 作成日時：2021年10月1日 18時
