成蘭の番犬ちゃん

37話目 ページ39

Aside



相良「…こんなちっちぇ手でケンカなんかすんなよ」

『……それは無理なお願いだね。
私はね、自分なら兎も角、友達だとか、学校の奴らとか、そういう人達が危ない目に遭うのは嫌なんだよ。それを守るためにこの拳を振るうんだ。


もう、誰も失わないために』

相良「……」

『もちろん、相良さんもその1人だよ？』


相良「Aちゃんに守られなくても自分の身ぐらい守れるぜ？」

『それ京子にも言われた。
ま、自己満なんだけどね。弱く見られたくない。強くありたい。

そんな思いがあってスケバン始めたんだよね』


へらりと笑えば左手を握る手が強まった。



相良「俺はお前を守りてェ

けどそこまで言われちゃ仕方ねェな」



離れた右手は私の頭を撫で、頬に添えられた


恥ずかしい…



相良「次会う時は敵かもしれねェ」

『…うん』

相良「お前にケガさせちまうかも知れねェ」

『痛いのはヤダな』

相良「開久に追いかけられるだろォな」

『相良さんと片桐さん以外なら受けて立つよ』

相良「それと」

『ん？』

相良「…好きだ」



─────────────ん？？？



『…え？？な、なに？
ごめん。思考がショートしちゃったんだけど…好き？ん？？』

相良「2回も言わせんな」



真剣な顔。
相良さんの耳が赤い気がする。
いや、顔も赤い。

てか私も顔熱い。

だって、え？？？



相良「返事今すぐくれとは言わねェ

ただ、気持ちが溢れちまっただけだ…」

『う、うん…』



かわいい

気持ちが溢れて勢いよく言っちゃったって事だよね？
てか、相良さんそんな表情もできたんだ…？





相良「…何笑ってんだ？」

『相良さん可愛いなーって(ｸｽｸｽｯ)』

相良「うるせェ、こっち見んな」



頬に添えられた手が目を覆い隠される

うっすらと見える光

そして一瞬その光が陰り、唇に柔らかい何かが当たった





目隠しされていた手は退けられ、悪戯っぽく笑う相良さんがいた。








(ファーストキスなんだけど…？)

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