止まらない、急行列車 ページ12
敦君と谷崎君が
僅かな不安が胸へと押し寄せる。私はそれに蓋をした。
そして。
「凪──ちょっと来い」
乱歩さんの、部屋へと。
未来へと、加速。
「座っていいよ」
『いやそう云われましても……』
私は口籠った。別に遠慮している訳ではない。普通に、物理的に座れない。云っちゃえば汚い。
散乱したお菓子袋等を丁寧に退かしながら私は床に座った。
「凪。今から訊くことは──僕が、そう感じただけの話だ。誰にも云ってないから、安心して」
『は、ぁ……』
返答に困る。何だろう、一体何を聞かれるのだ。
「君は」
乱歩さんがそう云って、口を開いた。
「未来を知ってるだろう？」
ゴン、と後ろの固い何かが音を立てた。いや、違う。私が後退った所為で、鳴ったのだ。
手が床に着く。ず、と床を押した。反射的にだ。逃げたい。この場から逃げたい。
『何、云ってるんです。乱歩さん』
「君が、未来を知っているだろう、と云ったんだ」
私が逃げるのを阻止するかのように、手を掴まれる。座っていた私に覆い被さる乱歩さんの瞳は真剣で、煙に巻こうとした私の口が閉じた。
暫くその拮抗状態が続く。
「……早く答えてよ。この体制も楽じゃない」
『だったら、離して下さいよ』
「君逃げるだろ」
目を逸らして口を閉じる私に、乱歩さんは苛立ったように声を上げた。
ノーとは云わない。ただ、イエスとも云わない。
それが指し示す事柄は、もう一つだけで。私も乱歩さんも、それを判ってて。
私が云わないのも、乱歩さんが云わないのも、理由は恐らく同じ。
この関係を、壊したくないから。
乱歩さんは今、天秤にかけている。今無理にでも私からその答えを聞き出すか、このことを無かったことにするか。
「……時間がないことを、凪は判ってるの？」
『え……時間？』
困惑する私を見て、乱歩さんは唇を引き結んだ。思い通りにならない現実を、彼は歯がゆく思っているようだった。
「…………君が早く云わないからだ。騒ぐなよ」
そうして、乱歩さんの手が、服の間に入り込んだ。
息をのむ私を、彼は口を閉じながら見落とした。
如何やら天秤は、無理にでも聞き出す方に傾いたらしい。
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シュークリーム - 題名に釣られたポオ君推し系の人ですどうも()あの〜……、貴方は神ですか……？最高です！文才がないうちからしたらとても尊敬します！今後も頑張ってください！ (2023年5月4日 18時) (
レス) id: 8e2a6ae821 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - ダリアさん» コメントありがとう御座います、嬉しいですね。時間は今は嫌という程あるので、お言葉に甘えさせて頂きます。 (2020年4月22日 9時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 私は白夜の世界推し続けるさん» そうなんですか、大丈夫でしたか……？書き溜めている分はいつも通り投稿させて頂きますが、嬉しいお言葉ありがとう御座います！ (2020年4月22日 9時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - ストーカーですか…知らない人に訳わからないこと言われると「え？」ってなりますよね…こんな時期ですし、ゆっくり休んでください！小説の方も頑張ってください！ (2020年4月22日 9時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
私は白夜の世界推し続ける - 大丈夫ですか!?ストーカー紛いのこと自分もされたことあるんですが、気持ち悪いですよね...今はゆっくり休んでくださいね！ (2020年4月21日 20時) (レス) id: 80e5573ebd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作成日時：2019年10月5日 16時
