夢の世界ー宝塚ー【朝美絢】【雪組】

不安 ページ20

廊下で集まっている雪組生は、

「ファントム」の香盤を見ていた。





その中にはもちろん、香恋や朝美もいる。







香恋の本公演の配役は、オペラ座の団員。

彩凪、朝美が役替わりで演じるフィリップに熱を上げる女団員の1人である。



香恋は、ある部分で表情がこわばる。






「まい、すごいじゃん！ヒロインだよ！」


「本当だ！おめでとう！！」






そう、新人公演でクリスティーヌ･ダーエという大役を任されたのだ。





『……ありがとう！頑張るね！』






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本格的なお稽古が始まる。




下級生は本公演に加え、新人公演のお稽古もしなくてはならない。








「まい、音が半音低い」



『はい！』





クリスティーヌは歌姫ということもあり、難しい曲が多い。


先生からのダメだしをふまえ、何度もお稽古する。







「うん…高音は出るようになってきたけど、歌詞をもっとはっきり聞き取りやすく」



『はい…！』








お稽古の時間が終わると、真彩が香恋に話しかける。








真彩「まいちゃん、聞いてたんだけど…ここやっぱりブレちゃうかな？」



『はい…何度やっても安定しなくて。
ここで1回ブレスした方がいいですかね…？』



真彩「うんそうだね！それか……」







その流れで本役の真彩は香恋の自主練にしばらく付き合っていた。




香恋も少しでも吸収できるよう、積極的に役作りのや歌についての質問をする。







真彩「今日は終わりにしようか！頑張ったね！」



『真彩さんもご自分のお稽古があるのに、本当にありがとうございました…！！』



真彩「大変だと思うけど、まいちゃんなら大丈夫！何かあったらまた言ってね」



『っありがとうございます！』









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香恋はお稽古の度に1人残り、自主練をする。




相手役の綾と一緒にすることもあるが、

綾が帰ってからも劇場が閉まるギリギリまで残っていることがほとんどだった。








この日も、いつものように残って自主練をしていた。







ｶﾞﾁｬ







朝美「Aちゃん。お疲れ様」




『っ！！朝美さん！！！』







香恋の表情はパァっと笑顔が浮かぶ。

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