狂×恐～昨日のカタチ～ (ページ10)

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第三章「鬼逃ノ始」一話ページ10

「ハァッハァッ・・・」

あの化物は追ってきていないようだ。同じように二年生も逃げてきたようでさっき合流した。そこ

から職員室に向かう。しかしそこには、もう死んでいる先生たちしかいなかった。

もう、大人には頼れない。

「やるしかない・・か・・。」

皆が次々と決意を固める中、玲先輩が声を上げる。

「今から、これからの行動をどうするか話し合うから三年生から代表で何人か来てくれ！」

三年生が数人集まり、話し合っている。しばらくすると、話し合いが終わったのか、

「全員聞いてくれ。ここから出るカギを見つけるために、捜索チームと待機チームに班を分けるこ

　とにした。・・・」

俺と楓は捜索班。夏奈は待機班だ。

「夏奈、大丈夫か？」

「うん！大丈夫！夜神先輩もいるしね。」

楓の言葉に、夏奈は明るく答えた。

夏奈はどうやら部活の先輩の中でも特に部長である夜神藍斗(やがみあいと)先輩を信頼してい

るらしい。

「そうか・・死ぬなよ。」

夏奈にそういうと楓と一緒に捜索班の元に向かった。

今は空き教室のある三階を調べている。すると急に前を歩く玲先輩が『止まれ』と合図を出した。

数十メートル先。誰か・・いや,血まみれの人のような・・ナニカ。ズルズルと音を立てどんどん

近づいてきている。皆は銃を構えた。

ズルッズルッズルッ

そのとき、前方の曲がり角から出てきたのはゾンビだった。

腐敗した体や顔、二つに分かれた体。そのゾンビは下半身がなかった。そいつは玲先輩の姿を確認

するやいなやとびかかってきた。

「チッ気持ち悪いんだよ！！」

バンッ！

玲先輩はそう言って、化物の心臓を撃ち抜いた。ゾンビはみるみるうちに灰になって消えた。する

と、灰の中から紙が出てきた。そこには、

『安全なのは保健室か図書室』

と書かれていた。皆は顔を見合わせていたが玲先輩の一言で一旦待機班の元へ戻ろうということに

なった。