狂×恐～昨日のカタチ～ (ページ8)

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第二章二話ページ8

舞はそう言い切ってドアを開け廊下に出ようとした。そのとき、彼女の体が傾いた。つまずいてし

まったのだ。次の瞬間、勢いよくドアが閉まり彼女は挟まれてしまった。

「えっ？」

「舞ちゃん！？早く抜け出して！！」

そんな田村花(たむらはな)の声を無視して非情にもドアが閉まる強さは増していく。

「いやあああぁあぁぁ！！」

バキバキッ

嫌な音を立て彼女の骨は折れていき、皆が立ち尽くす中、ついに舞の体は上半身と下半身が分かれ

まっぷたつになってしまった。静かな教室には、彼女の死体と血、そして「恐怖」が残されてい
た。

「俺らはやるしかないんだ。殺(や)らなきゃ殺(や)られる。生きたいならゲームをクリアするしか

　道はない。」

楓が皆に向かっていった。

「きれいごと言ってんじゃねぇ！！こんなゲーム・・クリアできると思ってんのか？全員死んで終
　

　わりだ！！」

そう叫んだのは麻水啓斗(ますいけいと)だ。クラスの嫌われ者で、ひねくれた性格をしてい

る。俺はあいつのような人間が嫌いだ。

「そんなの・・わかんないよ！！何もしないでいるよりいいじゃない！！」

叫んだのは夏奈。俺も夏奈に続いて言った。

「そうだぜ、麻水。お前そんなに死にてぇのか？だったら・・俺らの役に立ってから死にやが

　れ！！」

我ながらひどい言葉だったとは思うが別に後悔はしていないし、これが俺の本音だ。

「すまねぇ・・・俺もちゃんとやるよ・・」

俺の言葉で怖気ずいたのか、麻水はもう何も言ってこなかった。

夏奈は左のスイッチを押した。すると、後ろからがチャッと音がした。鍵が開いたのだろう。

クラスの全員で舞の弾を分け合って銃に入れた。舞の銃はもう1人の学級委員の田口比呂(たぐち

　ひろ)が持つことになった。俺は残りの弾をメモと一緒にブレザーの内ポケットに仕舞った。比

呂を先頭に皆で教室を出る。廊下には他クラスの奴らが暗い顔で銃を握りしめ、立っていた。各ク

ラスのドアの前には、見慣れた顔の死体が無残に転がっていた。廊下の向こうには同じ様子の３年

生が見えた。本当にゲームが始まってしまった。そう・・・

「狂気と恐怖の死(デス)ゲーム」が・・。今の状態ではクラス対抗で殺し合いでもするのか？そう

考えるのが妥当だと、そう思っていた。だが、次の瞬間その考えは覆(くつがえ)される。

「きゃあああぁぁ！！」「うわああぁぁ！？」