狂×恐～昨日のカタチ～ (ページ5)

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第一章三話ページ5

「僕、さっき見えたんだ。このクラスにはいない一人の少女が白井さんと高塚さんの間に立ってい

　るのをね・・」

「！？始ノ・・おまえにも見えたのか！？」

「うん。何故か分からないけど見覚えがあるんだ。」

皆は話についていけず、呆然と突っ立っていた。その時、博子が

「ふ・・ふざけてるの！？幽霊なんているわけないじゃない！」

「君がそう思うならいいけど、君は特に気を付けた方がいいと思うよ。」

始ノは自分の席に戻っていった。それを合図に皆も次々と戻っていく。

このときは大した問題じゃないと、そう思っていた。だが・・

数週間後、

「あれ？温度計がなくなっているわ・・何処にいったのかしら。だれかしらない？」

先生がそう言ったとき、またあの少女が現れ消えた。このことは謎のまま解決することはできずじ

まいだった。それ以降もドアが壊れたり、物が知らぬうちに移動していたり、黒板クリーナーがい

きなり授業中に動き始めたり。そんな不思議な現象が起こるたび、あの少女が俺には見えたのだ。

始ノも俺と一緒で毎回見えていたらしい。

ある日の昼食の時間、

「ぐぁっ・・・」

始ノが苦しそうに声を出した。

ゴホッ

吐血して始ノがその場に崩れ落ちた。「始ノ！？」みんなの声が重なった。

「皆・・にげ・・て・・・このままじゃ・・み・・んな・・死ぬ・・か・・ぎを・・のこ・・し

　て・・あ・・る・・としょ(ガハッ」

「始ノ！？どういうことだ！みんな死ぬって・・」

ガラッ

「どうしたの？！始ノ君！？」

いつの間にか騒ぎを聞きつけやってきた担任の山本先生と副担任の山井千夏(やまいちか)先生

が入ってきた。そして・・

「アーア、バレチャッタ」

そこにはいつも俺と始ノにだけ見えていた少女がいた。

「マァイイヤ・・！シカタガナイシ。ジャアセッカクダシ、タノシイゲームヲシヨウヨ！

　ア！センセイタチニハココデシンデイタダクヨ！一人の生徒も守れなかった・・無力な大

　人・・・」

最後の一言。とても悲しそうな目をしていたのを俺は見た。