狂×恐～昨日のカタチ～ (ページ18)

今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:2,213 hit

第四章六話ページ18

花の方に振り向いた少女に向かって、夜神先輩が刀を振り下ろす。

ザンッ！

やったと思った。しかしその刀を受け止めていたのは花だった。刀は少女の体をすり抜けたのだ。

夜神先輩は刀をよけ、「すまねぇ。」と謝った。花は「いえ、大丈夫です。」と冷静に告げた。瞬

時に刀を受け止めた彼女はすごいと思う。

「こいつは力じゃ無理だ！全速力で体育館まで走れ！！」

夜神先輩の声で皆は一斉にどこまでも続く暗闇の中を走り抜けた。

体育館はいつも通り静かだ。俺たちはあの少女から逃げ切った後、体育館に来ていた。

「あれ？」

夏奈が声を上げる。夏奈の視線の先を見ると、いつもは仕舞ってあるスクリーンが出ていた。

撮影機もないのにそこにはいつのまにかＡが映っていた。

「え！？」

「友香・・」

絢香先輩が呟く。

「ミナサンコンニチハ！オヒサシブリデスネ！」

「お前、ふざけんなよ！！こんな事して何が楽しいんだ！！」

と玲先輩が叫ぶ。

「ウルサイナァフクシュウニキマッテルデショ？ニンゲンナンテミンナヨクニマミレタ、キタナイ

　イキモノナンダ！！ケド・・姉さんだけは、違う・・よね？」

「お前、やっぱりまだ自我を失ってないんだな！？もうこんな事やめろよ！絢香先輩だって悲しむ

　ぞ！！」

「友香、もうこんな事はやめて！！事件に何も関係ない人たちを巻き込まないで！！」

皆や先輩が説得する。

「ウルサイ！！ネエサンモボクノキモチハワカッテクレナインダ・・。」

Ａがそう呟くと同時に光のなかった目に一瞬だけ悲しみの色が浮かび上がった気がした。

「コノゲームハ、カギヲミツケセイモンカラデナイトオワラナイ。カギハボクノイチバンツヨイナ

　カマニアズケル。ホシケレバボクノナカマヲタオスシカナイヨ。サァ！カギヲゲットスルマデナ

　ンニンキエチャウカナー？」

Ａは思い出すように続けた。

「ア！ソウイエバ、ヒナセンパイガキテクレタンダー！レイリョクガツヨイミタイダカラ、ツカマ

　エテルヨ！」

スクリーンには怯えた顔の三浦先輩が映った。

「ソレジャアガンバッテネ！」

そう言ってＡと三浦先輩は消えた。残された俺たちは保健室に戻ることにした。

体育館を出て廊下をしばらく歩いていると、

ガガガ・・ガガ・・

と鉄のような何かを引きずる音が聞こえた。