狂×恐～昨日のカタチ～ (ページ15)

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第四章三話ページ15

『一人一つ、二つセットは良い。破るやつは終(おわり)』

と、書かれてあった。

「どうしよう・・」

「また、なにかあるんじゃ・・」

皆がつぶやく。そのとき、同じクラスの佐藤奈々(さとうなな)が呆然と上を見て言った。

「え・・！？皆！上見て！！」

奈々に言われたとおり上を見ると光沢のある赤い大きな目玉に、毛むくじゃらの大きな蜘蛛がい

た。天井を覆うような大きさだ。

「きゃぁ！！怖いよぉ・・」

高塚が言う。

(((なんだろう、寒気がする)))

次の瞬間、薙刀を手に取った花が大きく張飛し、蜘蛛を切りつけた。蜘蛛までは十メートルくらい

ある。

「人間技じゃねぇ・・」

「すごっ・・」

皆が固まったままでいると、

「全員武器を持って！！早く！！」

花が叫び、皆急いで自分の武器をもつ。俺は二刀流の日本刀を手に取った。

「全員持ったら、保健室まで走れ！！」

そんな声が響くよりも先に皆が駆け出す。

蜘蛛は目を光らせ迫ってくる。

ヒュッ

横を何かが通り過ぎて行った。

「え・・！？」

「あ！当たった・・！！」

声を上げたのは奈々。手には手裏剣を持っている。次に蜘蛛を見ると、片目に手裏剣が刺さってい

る。そのせいか、少し動きが鈍くなったようだ。

「スピードを上げろ！！」

俺が叫ぶ。皆の動きが少し早くなった。が、次の瞬間。蜘蛛が白い糸を吐き出した。それが高塚の

足元に伸びたが、高塚は素早く近くにいた取り巻きの吉田と藤澤を引っ張り自分のいた場所と交換

した。だが糸の勢いは止まらず二人に巻き付いた。

「「きゃぁ！！」」

二人の悲鳴が上がる。そして、糸はどんどん蜘蛛の方に引き寄せられ・・

バキッバリッボリッグシャッ

骨をかみ砕く音が聞こえた。

「身代わりにするなんて・・」「サイテー」「ひどいっ」

皆の声が聞こえた。

「仕方ないじゃない！死にたくなかったの！そんなことより、早くこの化けもの殺してよ！せっか

　く良い駒だったのに」

俺は耳を疑った。本当に頭のおかしい奴だ。仲間を「良い駒」だなんて。

そのとき、

ヒュッ

糸がまた伸びてきて、高塚に絡みついた。

「きゃあああぁあ！！！」

高塚は二人のように引き寄せられ、

ゴリッバキッグシャッ

という音と共に喰われた。

「逃げろ！！」

そのあとも糸が伸びてきたが、刀や薙刀などで断ち切り防いだ。