キョウダイアイ【N.K】 (ページ16)

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お母さんがふふと笑みをこぼしながらどこかへ行ってしまった。

状況がつかめなくて、カズと顔をあわせて首を傾げる。

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しばらくして、お母さんが何か紙を持って戻ってきた。

父「二人に覚悟があるみたいだね。」

そう言って机の上に差し出したのはお母さんがさっき持ってきたもの。

それは離婚届で、中も全て書かれているものだった。

和「なんでだよ！俺たちは離婚しろなんて言ってない！」

「そうだよ。私たちそんなつもりないし。」

カズが声を上げたからそれに続いて反論した。

父「二人がお互い好きだってのは随分前からわかってたんだよ。」

母「そうよ。何年貴方達を見てきたと思ってんのよ。」

父「それに親は子供の幸せ祈るのが普通だろ。」

母「そうよ。親はみんなこうするし、貴方達が今私達の立場だったら同じことしてたでしょう？」

なんか、ものすごく申し訳なくて、どうしようってウズウズしてる。

母「子供のためなら親は何でもするのよ。離婚するだけであって何も変わらないんだから。」

父「結婚していることが一番の幸せって訳じゃないだろ。一緒に住むのは変わらない。」

ほんとに申し訳なくて、何か言わなきゃって思うと鼻の奥がツンとして、あ、涙出ると思って咄嗟に俯いた。

母「だから、お詫びなんて聞きたくないわ。ちゃんと二人で幸せになってちょうだい。」

和「ありがとう。っていっても足りないくらいありがとう。絶対に二人で幸せになります。」

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和が言ったんだから私も言わなきゃって思うんだけど我慢しきれなくて、右目からぽろん、って涙がひとつこぼれ落ちてスカートにシミを作った。

それに気付いたカズが大丈夫って小さな声で言って背中を擦ってくれた。

精一杯言わなきゃ、そう思って頑張って声を出す。

「お父さん、お母さん、ありがとう。絶対カズと幸せになるからね。」

そう言って、いつか、お母さん達に孫の顔を見せてやるんだって心に誓った。

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