佐野さんちの日常物語【男主】 (ページ5)

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第五話朝ご飯と髪ページ5

冷蔵庫には
卵やウィンナーなどが
入っていた。

Aがフライパンで
スクランブルエッグを作っていると
妹弟の会話が聞こえてきた。

朝から元気だなぁと関心する。

「A兄の髪って
すごく綺麗だよね。

銀髪でサラサラで……

私猫っ毛だから天気に
影響されやすくて困る……」

「俺も猫っ毛だからな……。
そういえば兄貴はなんで
髪伸ばしてんの？」

Aは一旦、コンロの火を止めて
柊たちの方を向いた。

Aには髪を伸ばす一つの理由があった。

けど、それを話すのは
もう少し先にしよう。

「なんでって……
暖を取るためだよ。

俺冷え性だし首元が寒くなくて
いいんだよねー

(ちゃんとこの子達に話すのは、
俺の中でケジメがついたら……ね)」

「だからって輪ゴムとかで
テキトーに縛るのはやめてよね。

折角の綺麗な髪がもったいないよ」

「えー、めんどくさい」

Aはニッコリと柔らかい笑顔を
浮かべながら即答した。

そう、この兄の口癖は

【めんどくさい】だ。

昔から何かやるごとに、
これを聞いていた気がする。

確か彼女を作らない理由にも
使っていた覚えがある。

桜子はAに渡された
ホットミルクを受け取り、
それをコトリと机の上に置く。

トースターがチーン……と
焼き上がりを合図した。

トーストが白い皿の上に載せられて
机に運ばれてきた。

「A兄、ジャム取って。

いちごジャムがいいなぁ」

「自分で取って。俺忙しい……」

「ちぇーっ」

桜子はいやいや立ち上がると
冷蔵庫まで向かう。

柊は、姉である桜子の後ろ姿を見て
本当に嫌そうだな、と思うのだった。