溶解度88ｇ ページ44
「姉さん、驚かないで聞いて」
ある日、爽が真剣な面持ちで
私の目を見た。
「なんと、父さんが入院することに
なりました」
口に運びかけていたご飯がポロリと
落ちる。
今、愛しの弟はなんと言っただろうか。
「入院っ！？」
「だから驚かないでって言ったのに……」
「驚くなっていう方が無理でしょ。
一体お父さん何したの？」
「会社の人間ドッグで、引っかかった
らしくて詳しいことは聞いてないけど
１ヶ月くらい入院するんだって」
生活費と入院費に一瞬不安になった。
しかし1ヶ月なら、私とお父さんの貯金で
何とかなりそうだ。
そう言えば磯貝くんは、確か母子家庭で
お母さんの体が弱くて学校にナイショで
バイトしてるんだっけ……。
「1ヶ月、中学生だけって不安だよね」
爽は眉尻を下げて困ったような表情をした。
「みんなで家事分担しようか」
「え？」
今度は雪が驚く番だった。
ほら、爽にばかりやらせても
いられないでしょ。
今まではお父さんがやってきたことも
私たちが代わりにやらなきゃ行けないし。
「ね、姉さん何言ってんの？
姉さんが家事とかむりでしょ」
「失礼すぎない？洗濯とかなら
できるよ、多分」
「絶対無理だよ！洗剤の量間違えて
泡まみれになるよ！」
「ひぇっ」
有り得そうで怖いです。でも、
やってみる価値はあると
思うんだよねー……。
「姉さん、もう学校行かないと
電車遅れるよ？」
時計を見るとかなりギリギリの時間だった。
「爽ありがと！行ってきまーす！」
「もう、ちゃんとしてよね〜」
爽は呆れながら、Aが使っていた
食器を片付け始めた。
「爽〜おはよぉ」
後ろから腑抜けた声が聞こえた。
「おはよう涼。この寝坊助が」
「怒るなよー」
涼はケラケラと楽しそうに笑った。
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漆零(プロフ) - ゆっきーさん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2017年3月26日 21時) (
レス) id: 8306faec61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー(プロフ) - 漆零さんの作品はどれも面白いのでこれからもがんばってください！ (2017年3月26日 20時) (レス) id: d4b1b28eff (このIDを非表示/違反報告)
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