溶解度63ｇ ページ19
｢お前は……このクラスで
いちばん強い｣
イトナくんはそう言いながら、
カルマにグッと近寄ろうとする。
｢わっ！？｣
脚に足が当たった。わざとでは無いことは
彼の顔を見れば何となくわかった。
｢わ、悪い……｣
何だ、ちゃんと謝れるのなら、
お姉さん安心したよ。
｢大丈夫、当たっただけだから｣
軽く笑いながら言うと、イトナくんは
カルマの方へ向き合った。
｢でも安心しろ。お前は俺より弱いから
俺はお前を殺さない｣
イトナくんはカルマの頭をくしゃくしゃと
撫でて離れていった。
私もあとで撫でてあげよう。
｢俺が殺したいと思うのは俺より
強いかもしれないやつだけ｣
イトナくんはそのまま前に進み、
殺せんせーを指さして言った。
｢この教室では殺せんせー、あんただけだ｣
｢強い弱いとは喧嘩のことですかイトナ君？
力比べては先生と同じ次元には立てませんよ｣
｢立てるさ｣
そう言い放つイトナくんからは、
絶対に勝てるという自信が
満ち溢れていた。
｢だって俺たち、血を分けた兄弟
なんだから｣
｢うぇっ！？｣
皆｢｢｢兄弟ｨ！？｣｣｣
｢負けた方が死亡な。兄さん｣
イトナくんが教室を後にしてからの
私はというと……。
｢トゲがめちゃくちゃ刺さるんだけど。
何で誰も手伝ってくれないのさぁ｣
と、グチグチ言いながら木の破片を
拾い集めていた。
｢はあー、仕方ないから手伝ってあげるよ｣
｢お前に頼んでないし。つか何
その深いため息、腹立つ｣
カルマは、その場にしゃがみ、そして
ひとつずつ欠片を拾いだした。
｢素直にならないとその指舐めるよ｣
｢うっわ、変態。やめてー｣
｢遠慮しなくてもいいんだけど？｣
｢お巡りさーんコイツですー！
怖いんで、刺してもいいですか？｣
壁の破片の尖ってる方をカルマに
すっ、と向けた。
｢そうやって強く握ったりするから
指切るんでしょ｣
｢おぉ、そういう事か｣
｢ホントAって学習しないよね｣
｢人を獣みたいに言うなよ……｣
｢そこイチャイチャしてんじゃねぇ！｣
耐えられなくなったのか、前原が
こちらを指さしてギャンギャン吠える。
｢お主、またふられおったな、ザマァ｣
｢うぜえ｣
｢さあさあ本題に戻りますよ。Aさんの
怪我は先生が直して おきましたから。
Aさんは席についてください｣
｢ヘーイ｣
ほんとに指が治ってました。
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漆零(プロフ) - ゆっきーさん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2017年3月26日 21時) (
レス) id: 8306faec61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー(プロフ) - 漆零さんの作品はどれも面白いのでこれからもがんばってください！ (2017年3月26日 20時) (レス) id: d4b1b28eff (このIDを非表示/違反報告)
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