不死の元遊女、見習い審神者です (ページ44)

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43話着物を選ぼうページ44

本丸を後にした薬研とAは
町に足を運んだ。

街並みは江戸時代のような風景で、
万屋や食事処などAの昔の記憶を
呼び起こした。

「……懐かしいですね。京と言うより江戸の街並みに似てます……」

「ん？Aは江戸にも住んでいた時があったのか？」

「はい、京に来る前は江戸に少し……」

人斬りだった頃の記憶が蘇る。

依頼された分の仕事をする、
今で言う暗殺者のようなもの。

刀で肉を切り裂く感覚が手に伝わって……
もっともっとと欲しがっていた私の昔──

あの頃から姫鶴は私の相棒となり、
ずっと一緒に過ごしていた。

あの頃は楽しくて、幸せで……。
江戸で大火があったあの日まで──

「A……どうかしたのか？着物屋についたぜ」

薬研に腕をつつかれ、我に返った。

前を向くと着物が沢山
飾られている店についた。

「おや、いらっしゃい……お嬢さん」

中から、お世辞にも綺麗とはいえない色の着物を纏った老婆がゆっくりと出てきた。

「ゆっくり見てって下さい」

「お言葉に甘えて……」

中に入ると、色とりどりの着物がずらりと並んでいた。無地だけではなく、花や蝶など柄が入った美しい着物も飾られている。

「……これだけあると迷いますね。薬研、一つ決めてもらえませんか？」

ずっと隣にいた薬研に声をかけると、驚いたのか顔をはっと上げた。

「俺っちが決めてもいいものなのか……？」

「私じゃ……何が似合うか分かりませんから」

じゃあ、と薬研は少し離れて
着物を探し始めた。