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33話 ずんだ餅と記憶 ページ34

「出来たよ」


厨から出てきたのは燭台切。

皿いっぱいのずんだ餅を持って
大広間に入ってくる。

あれから鶴丸国永の手入れを終えた
Aたちは広間に集まっていた。


「へぇ、仙台のずんだ餅ですか。
これは美味しいですね」


「喜んでもらえてよかったよ」


話に弾みをつけていると、
突如襖が勢いよく開いた。


「光坊居るか!?」


「はいはい、鶴さんどうしたの?」


「見てくれ、目が覚めたら怪我も疲労も
すべて綺麗に無くなっていたんだ」


「あー、それは……」


清光が視線をそらしつつ答えようとする。

その前に鶴丸が見知らぬ人に気づき、
声をかけた。


「きみ初めて見る顔だな。新人か?」


「見習いのAと申します」


「……いや、初めて見る顔ではないか……?」


鶴丸はその場で腕を組み、
何か考え事をしているようだ。

Aはしばらくその様子を見つめていた。


「わぁーこのおもちすっごく
おいしいですー!」


Aの隣では今剣がずんだ餅を
幸せそうに頬張っていた。


「……きみ、何処かで会ったことが
あるんだよなぁ。……さて、何処だったか」


薬研は何か言いたそうに、
だが鶴丸がうんうん唸っている姿を
何処か面白そうにニヤニヤと見つめていた。


「……薬研、笑ってないでヒントくらいは
あげてもいいんじゃない?」


しびれを切らしたのか清光が薬研をつついた。


「おう、そうだな」


「鶴丸さん、薬研が何か知ってるかもよ」


安定が考え込んでる鶴丸に声をかけた。
なかなかの連携プレーだとAは感心した。

長い間一緒にいた分、互いのことは
分かりきっているのかもしれない。

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作者名:泡沫 ヒナ | 作者ホームページ:後日専用ホムペを作成予定  
作成日時:2018年7月29日 22時

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