不死の元遊女、見習い審神者です (ページ25)

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24話もう一振の短刀襲撃ページ25

本丸に無事帰還し、厨に向かった。

つい最近まで使われていたようで、
食器が何枚か食器洗浄機の中に
入っていた。

「さて、何をしようとしているんでしょうか？
……もう一振りの短刀、今剣さん」

「ばれてしまったのならしかたないですね。
いまからさにわ、あなたをころします」

「おやそれは物騒ですね。
ですが私は生憎君達が憎み嫌っている審神者
ではありません。見習いです」

「いくらみならいといえど、
ぼくたちにむりをしいるのでしょう？
それならなにもされないうちに
ころすのがさいぜんさくです」

この会話の間にAは焦りを感じていた。

厨で料理をしようとしているため、
武器は包丁一本。
完全に丸腰で挑むことになる。

「それじゃあいきますよーっ！」

今剣は軽々飛び上がると勢いよく
Aの方向へ斬りこんだ。

しかしAは今剣の右手首を掴み、
彼自体を抱きしめた。

「はなしてください！
じゃないとさしますよ！」

「おや、この状況でまだ戦うんですか？
今のが精一杯の攻撃でしょうに。
この拘束だって現に解けずに
いるじゃないですか」

「ぐっ……」

今剣は図星をつかれ、返す言葉を失った。

「さ、今剣さん。
これから君に質問をします。
素直に答えてくれますね？」

Aの問いかけに彼は頷くことは無かった。
それでもお構い無しにAは質問をした。

「……夕飯、何が食べたいですか？」

「は？」

突拍子もない質問に今剣は、
驚きを隠せずにいた。

「だから夕飯を作るので、何が食べたいか
君に要望を聞いているんです」

「ぼくは、あなたをころそうとしたんですよ？
なのにどうしてそんなにゆうちょうで
いられるんですか。どうしていままでの
にんげんのように、こわがったり、
なぐったりにげたりしないんですか」

今剣はこれまでの人間と
Aを比べている様子だった。