不死の元遊女、見習い審神者です (ページ17)

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16話男前な短刀を口説き落とそうページ17

「残念ながらそんなお人好しにできた人間じゃないので。それに男にもそれほど困っちゃいませんし」

「じゃあ聞くが、なぜこの本丸に来た？
惨状を見て、からかいに来たのか？」

薬研の鋭い眼光がAを直視する。

お互いの言葉がぶつかり合う。
傍から見ればちょっとした
口喧嘩のようにも見えなくはない。

「そんなはずないでしょう？
狐に頼まれたから来た、それだけです。
私はあの男を始末するために来た
「人斬り葉月」で御座んすよ」

Aが姫鶴を掴み、そう吐き捨てた。

薬研は少しの間きょとんとしたが、
そのあと何か面白いものでも見たかのように
豪快に笑った。

「はははっ！そりゃ面白ぇな。
いや、俺もあの男のことを誰かが
いっそのこと殺してくれねぇかと
考えていたところなんだ。
……俺じゃ、逸話のこともあって難しいからな。

いやー、それにしてもあんたのこと
気に入ったよ。これからよろしく頼むぜ」

途中、小声で聞き取りにくい部分もあった。

しかし彼女にはすべて聞こえていたようで、
安堵のため息が無意識に出た。