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15話 一振の短刀に会う ページ16

「薬研、入るよ」


清光が声をかけるが返事はない。

Aは何も言わずに
勢いよく襖を開けた。

そこには、手当をしようと包帯を
手にしている少年が畳の上に座っていた。


「よぉ、安定は直ったのか」


「Aのおかげでね」


怪訝そうにAを見つめる薬研。
そして、彼の藤色の瞳を見つめ返すA。


「あんた……何処かで会ったことないか?」


「世の中も狭いものですから。
私もあなたのこと何処かで
見たことありますし」


薬研の藤色の目がAの藍色の目と
交差する。


何やら不穏な空気が流れそうになるのを
清光が話を振ることで回避した。


「Aは俺たちの昔からの知り合いって
言えばいいのかな。なんかそういう感じ」


「ほぅ。んで、嬢さんは何でこんなとこに
来たんだ?まさか、ここを救うとかいう
偽善の正義感を持って来たわけじゃ
ねぇよなぁ?それとも、美男子に
愛されるために来たのか?」


皮肉そうに薬研が笑う。

彼はトゲのある言い方をして、
彼女を追い出そうという作戦のようだ。

兄弟を捨てられた彼にとって、
人間とは信じることができない存在に
なりかけているのかもしれない。

そりゃ無駄な話ですね、
とAはバッサリ断ち切った。

16話 男前な短刀を口説き落とそう→←14話 突きつけられた事実


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同田貫正国


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作者名:泡沫 ヒナ | 作者ホームページ:後日専用ホムペを作成予定  
作成日時:2018年7月29日 22時

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