不死の元遊女、見習い審神者です (ページ13)

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12話沖田さんの愛刀たちページ13

「直せそう……？」

「あの狐の言うことを信じればの話ですが……
やってみますか」

Aは彼のそばに置いてあった
本体であろう刀をそっと持ち上げる。

それを拒むようにして彼は右腕を伸ばすが、
傷が痛むのか顔を歪めた。

「すみませんね。あの人に顔向けが
できるようにこっちも最善を尽くさないと」

打ち粉と紙で手入れをしていく。
ていねいに、時間を掛けて。

A自身、刀を持っているため
この作業は日常茶飯事で、慣れっこなのだ。

ある程度綺麗になると突然桜の花びらが舞い、目の前で寝ていた彼がむくりと起きた。

「……僕は」

「安定！よかった、目が覚めて」

長いこと眠っていたのか、
彼は眠い目をこすってこちらを見た。

「……お、沖田くん！？」

「残念、沖田くんにそっくりなAですよ」

「俺も最初あの人だと思った」

「な、なんで生きてるの？
沖田くんより先に死んじゃったんじゃ…」

あぁ、そういうことになっていたのか。
まぁ、それも無理はない。

彼が床に伏せる頃には
もう京の町を離れていたから。

「不老不死の私はそう簡単に死にやしません」

「Aは安定のことちゃんと
直してくれたんだぞ」

「ん、感謝してる。ありがとうA」

笑った顔があの人にそっくりだと、
今さらながらこの子達の前の主を思い出した。