268話 ページ22
『それで監督からマネージャーの誘いが来たの。迷ったけど学校では部活にも入らなかったし、サッカーは好きだから引き受けたわ』
「じゃあ」
『合宿から合流することになってるの。私もフランスに行くわ』
上杉は頭を振りながら半ば呆れたように言った。
「11人相手に勝つって、ますますお前のこと分からねえ」
『久しぶりに本気を出したから、次の日は筋肉痛で動けなかったけどね』
すると黒木君が思い出したように言った。
「エマさん達がフランスに戻った日か」
「桜田はオーケー。じゃ問題はアーヤだけだな」
「どうだい?」
黒木君が立花さんを見た。
「行けそう?」
立花さんは俯いたまま、小さな声で言った。
「多分ムリだと思う」
皆ががっかりしたようなため息をつく。
「ダメか」
「チャンスなんだけど、全員が揃わなきゃ仕方ないな」
「残念だよね」
『まあ本来そう簡単に行けるものじゃ無いわよ』
「ごめんなさい」
立花さんの声は震えていた。
瞬間、ガタッと椅子の音をさせて若武君が立ち上がった。
「泣くな。行きたいのか行きたくないのか、まずそれをはっきりしろよ」
「行きたいけどママが多分許してくれないから…」
「よしわかった。じゃ、俺が行かせてやる」
皆がアングリとしている。
「必ず行かせてやる。任せとけって」
そう言って意気揚々とテーブルから離れ、出入り口から出ていった。
「どこに行くんだろ」
小塚君が言うと、上杉がふっと笑った。
「お手並み拝見といこうぜ。何しろ将来の詐欺師だからな」
そう言いなが黒木君に視線を流す。
それを受けて黒木君も頷いた。
「ん、きっとなんとかするよ。あんなにはっきり言ったんだからさ」
※※※
それからしばらくたった日、秀明の掲示板には、「KZ中等部海外遠征」と書かれた大きなポスターが貼りだされた。
サッカーチームKZ中等部は全員で70名くらい。
その中でレギュラーの地位を確保してるのは6人くらい。
交代で試合に出る準レギュラーが10人、残りは補欠部員となっている。
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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません!繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます!駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます!ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年11月30日 15時