トード ページ49
しゃがんでの軍事備品の点検中、突然髪に何かが触れられた。驚いて、変な声を上げてしまいながら振り向いて銃口を晒す。
「何でそんな面してんだよ。Aの髪が地面に着いてたからまとめてあげてたのによー」
けらけら笑われたけど、そんな気分じゃない。拳銃をしまいながら設備中の備品を抱えて彼から離れても、向こうから勝手に近づく。
「女だしさ、髪くらい丁寧に扱えよ。頭を守る為に生えてもいるからさあ」
後者は妙に納得する。だからと言って、またわたしの髪を触る為に後方に回って欲しくない、相手だけに後ろについて欲しくないという気持ちが強い。
「いじらないならバッサリ切った方が良いぜ。オレたち軍人は動いてナンボだ、髪が邪魔になったら本末転倒だろ？」
髪を大事にして欲しいのかさっさと切れなのか、どっちなのか。トードは慣れた手つきで、ポケットから赤いリボンを取り出してわたしの長い髪を後ろにまとめた。
「じゃーん、どうよ？可愛いくできたぜ」
手持ちの備品に鏡があったので、奪われたと思ったらこっちに鏡面を向けた。真正面だと全然変わっていなくて、どうなってんだと顔をしかめた自分と目が合う。彼は面白そうに「後ろ少し向いたら、髪型見えるぜ」と言う。言われた通りに、少し後ろに向いて鏡を見る。
「ハーフアップだ。リボンが邪魔しない程度に目立つ髪型だぜ」
編み上げている為に、自身の髪の量が減っていることに気付いた。何でこの髪型を知っているんだ。噂程度だが、彼が所持している大量のいかがわしいデータの中に、そういう髪型の子がいるのかと戦慄する。
それにしても、後頭部の上部付近にある真っ赤なリボンが変に目立つ。この軍隊の名前に赤が入るけど、流石にアクセサリーまで赤にしたくない。断りを入れてから、返事を待たずにリボンを解こうと手にかける。
「まーてまてまて！オレが作ったヘアスタイルだろ、感激しました！とかありがとうございます！とか言うだろ」
勝手に髪を触ったのはそっちだし、こっちは頼んでない。細くなる目線で彼を見ても、のらりくらりと躱す。
「それは目印だ、オレの軍隊の人間って分かるだろ。それにオレの好きな色で、Aにマーキングしてるみたいで興奮するんだよな」
悪びれもせずに言う姿に、背丈の関係上で腹に拳を入れる。がっと手を掴まれて、にこにこしてる。
「ダメじゃねえか、従順になる為に"教育"しとくか？」
要らないけど、彼にがっちり掴まれてしまう。やめて、怖い。
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さとうみさん(プロフ) - 脚立無理さん» コメントと感想ありがとうございます。今更の返信ですみません、最初は勢いとノリだけで書かせていただいたものなので、お見苦しい所が散見いたします。しかし、脚立無理さんがそのように仰っていただけたので、至極光栄です。またお暇な時にご覧になってください！ (7月19日 19時) (
レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
脚立無理(プロフ) - こんにちは、さとうみさん。初めてコメント失礼します。とても読みやすくて、頭でシーンを想像しながら何度も読み返しています。とてもキュンキュンして最高です...( ꈍᴗꈍ) (5月18日 10時) (レス) @page50 id: 130f422966 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん - 熊井さん» コメントありがとうございます！実はゾンビのサンタのお話を考えていましたが、彼のクリスマスをぼろくそに言うシーンを書きたくてこのお話になりました(笑) (2022年12月25日 19時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
熊井 - やっぱりクリスマスと言ったら、彼ですよね〜(○´∀｀○) (2022年12月25日 19時) (レス) @page46 id: 7220adac43 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん - ミイミイー☆(新アカ)さん» コメントとリクエストありがとうございます！前者はスイッチが入ったら面白いことになりそうな恋人を書いてました。後者は気が付くと危ない話になりました（）一応短編集は続編も考えていますが、走り切る気です。ミイミイー☆さんも頑張ってください！ (2022年12月22日 13時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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