EWの短編集

トード ページ41

※暴力表現有



「よーし、今度は別の方法だな」

やや着崩した軍服を着た青年が、イスに縛り付けられ座る女性のAに詰め寄る。目隠しも猿轡もしており、何も見えない上に何も言うこともできない。彼女が着る服も軍服で、若干よれており汚れも裂け目もある。目の前の青年と違う軍服なので、明らかに敵対していると分かる。

「頷かねーイエスって示さねー……その頑なさは、軍に必要だけどさあ」

不気味に笑いながら拷問を継続している青年トードは、よだれまみれの猿轡を外して訊ねる。彼女の軍のトップの居場所を聞くも、ようやく口を開けた彼女は相手に罵声を浴びせる。

「ダメだろ？自分の立場を考えろよ、な？」

彼はイスの足を蹴ったが、力強いからかイスの足が折れた。座っている人は短くも小さな声を上げて、地面に斜めの状態で座っている。

「うっわーこりゃ笑い種だ」

変な座り方で天井に近い方の彼女の膝に、げらげら笑いながら今度は足を載せて押し付ける。リズムよく何度も踏みつけられるも、痛みで口を歪ませつつ悲鳴を一切上げない。相反し、イスはまたも無事の足が乾いた音を発して折れていく。

「へえ、強いな。そんな女は屈服させたくなる……ケケ」

舌なめずりの後にしゃがみ、顔を伏せる彼女の髪を掴んで無理やり顔を上げさせた。目隠し状態のまま故に、彼らが目を合わせることは一切できてない。

「早く言わないと、もーっと痛めるぞー？」

彼女の口に自身の手を突っ込み、舌を指先で力強く掴む。流石に彼女は嗚咽を何度も溢していた。

「舌の切断直後は死ぬことはない。切断された舌が喉でふさがって、窒息になる。で、それでお陀仏になるか？」

その間も彼女の舌を弄繰り回す。口に入れている指先は唾液まみれになり、それでも気にせずに続けている。爪の先で舌の表面を力が籠ったままで引っ掻いたせいで、血液が流れ出た。唾液に乗って、その血液が口外に出る。

「傷付いてんだ？へー？」

口から手を離して、けらけら笑う赤色。解放された方は、下手くそな口の動かし方で酸素を無意識に大量に吸い込んだ。

「さっさと言わねーから。オレ悪くなーい」

唾液まみれの指を舐め取り、彼女を未だに見下ろす。

「A、とっととオレと楽になろうぜ？な？悪いようにはしない」

怪しい笑みで更に詰め寄るトードは、隠しごとがあった。それは、Aのトップは昨日彼の軍によって死んだことだ。彼女をどうして拷問するのか、それを知るのは彼のみである。

マット→←エッド(Future)

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