エドワード刑事 ページ38
イギリスに帰って来た一応の血縁者であり刑事のエドワードだけど、未だに仕事はポンコツぶりを発揮している。どうして王子を無事に奪還できたか不思議に思うが、そもそも何故刑事になれたかが最大の謎だ。
「ただいま」
家事をしていると、案の定ぼろぼろで帰って来た。私と彼は親戚で、彼の家に好意で住まわせてもらっている。憧れの仕事をしているので、とても充実している。ただ、毎日その親戚の行動が悪い意味で目立っている。
夕食を食べて、その横で家事をこなす。刑事で朝から晩まではちゃめちゃなことをしているけど、仕事時間がわたしよりずっと長くて大変そうだと思っている。
「ごちそうさま……って、何してるのさ。これくらいできるよ」
食後で彼のぼろぼろな衣服の背にあった小さなほこりを手払いしていると、何故か恥ずかしがった。血の繋がりはあるし、そこまで恥ずかしがる必要はないと思う。
「そ、そりゃ、僕たち性別違うじゃん。恥ずかしいに決まってるよ」
男のあんたが頬を赤らめているんだ。じとっとした目で見てしまうと「何で鈍いのさ」と小さな声で漏らした。
家事を終わらせ、自室でヘアブラシを使って髪を梳いた。あの人と同じ髪色だと改めて思い、髪を撫でた。ノック音で髪を触れる手を思い切り離した。上擦った声で大丈夫と伝えると、むこうは入って来た。
「毎日疲れてない?仕事も家事もかかさずしてるし」
好意で寝泊まり出来ているので、そのお返しで家事をしている。だから、全然苦痛じゃない。
「むちゃなら言って。僕たち……えっと、血は薄いけどここに住んでる以上は家族だし。君の為なら、苦痛も共にする覚悟もあるから」
プロポーズみたいとからかってみると、顔を赤くして伏せた。まさか本気で言ってたのかと、驚いて目が丸くなる。
「僕だけなの?結構ショックだよ……」
頭を抱え、仕事のポカとは違った落ち込みだ。仕事のポカよりわたしにどう想わているかが大事かと思ったが今は仕事から離れているから、別に良いのか。
お疲れ様の意も込めて、高い位置にある頭を爪先立ちして何とか撫でる。明日も頑張れ、失敗はしないように。
「君から見てもカッコイイ男になる。だから、それまで待って欲しいんだ」
むこうから抱き締められて、ちょっと驚いた。同時にゆっくりやって来た照れを隠しながら、失職しないで欲しいと言う。すると、複雑そうな声の返答がきたので自覚してると思う。
「何でちゃかすのかな……こっちは本気なのに……」
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さとうみさん(プロフ) - 脚立無理さん» コメントと感想ありがとうございます。今更の返信ですみません、最初は勢いとノリだけで書かせていただいたものなので、お見苦しい所が散見いたします。しかし、脚立無理さんがそのように仰っていただけたので、至極光栄です。またお暇な時にご覧になってください! (7月19日 19時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
脚立無理(プロフ) - こんにちは、さとうみさん。初めてコメント失礼します。とても読みやすくて、頭でシーンを想像しながら何度も読み返しています。とてもキュンキュンして最高です...( ꈍᴗꈍ) (5月18日 10時) (レス) @page50 id: 130f422966 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん - 熊井さん» コメントありがとうございます!実はゾンビのサンタのお話を考えていましたが、彼のクリスマスをぼろくそに言うシーンを書きたくてこのお話になりました(笑) (2022年12月25日 19時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
熊井 - やっぱりクリスマスと言ったら、彼ですよね〜(○´∀`○) (2022年12月25日 19時) (レス) @page46 id: 7220adac43 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん - ミイミイー☆(新アカ)さん» コメントとリクエストありがとうございます!前者はスイッチが入ったら面白いことになりそうな恋人を書いてました。後者は気が付くと危ない話になりました()一応短編集は続編も考えていますが、走り切る気です。ミイミイー☆さんも頑張ってください! (2022年12月22日 13時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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