EWの短編集

マット ページ25

「みてみて！ボクとキミの写真！」

マットが持っていた写真立てを見せてもらうと、私と彼が映っている写真が入っていた。2人して笑顔でいて、とても楽しそう。確かこの写真は、彼と付き合いをし始めた頃に撮ったもので懐かしい写真だ。もちろん私も同じ写真を持っているし、小さなテーブルの上にある写真立てに入れた状態で丁寧に置いている。

「ボクたちが恋人になって初めて撮った写真だよ！ボク、毎日これといっしょに眠ってるんだ！」

写真立てを抱きしめる様子を見て、照れくささと嬉しさが同時に来ていた。恥ずかしいけど、写真をとても大切にしてくれているのが分かる上に、彼に想われていると思うととても嬉しい。

「せっかくボクのカワイイ彼女のAがいるんだし、だきしめたいなっ！ぎゅー！」

突然腕を伸ばされ、包まれるように抱き締められる。真正面で彼の声が近くに聞こえるのもあって動作も唐突でびっくりしたけど、無鉄砲ながらに果敢に挑むのが彼の個性でもあり素敵な所だと思っているので無問題だ。応えるように自身の腕を彼の背中に回して、目を閉じる。より密着して、恥ずかしいけど密着してこうしている時が一番幸せだ。

「ふふふ、ボクも嬉しいよ！Aにこうされるのもとても好きだからね！」

外ではなくて、屋内で助かったと思う。マットは外でも気にせず抱き締めてくるので、心臓がもたなくなりそうな機会が多かった。最近は二人きりかつ屋内の時しか許しておらず、実際にその言葉通りに従ってくれているから彼なりに気遣って自重してくれていると思う。なので、最近は心臓に優しい生活を送れている。

「Aがボクを全部受け入れるのって、2人きりの時だけだよね。ボクも最近そっちの方が良いって思ったんだ」

流石にちょっと体勢がきつくなってきたのでソファに座って、まだ立っているマットに目を向ける。写真立てを近くのテーブルに置きながらにこにこ笑って、私の手を優しく取って膝を床に付けている。

「カワイイAの行動とか言葉とかボクだけのものじゃないって思うとさ、すごくもやもやするんだ。ボクだけにしか見せないAのヒミツって、ボクだけのトクベツだから誰にも見せたくないんだ」

繋ぐ手指が密着して、指どうしが絡まり合う。普段はこんなことをしないので困惑していると、彼の顔が近寄って来る。恥ずかしさで顔を少し反らすと、それに合わせて彼も顔を動かす。

「そういうAの顔が見たいんだ、だからそらさないで？」

エッド→←トード

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