マットとマーク ページ19
たくさん買ったせいで、帰り道で半泣きになりながらすごく詰まった複数の買い物袋を抱えた。
「どうした、A」
聞いたことのある声をかけられたと思ったら、急に袋を取り上げられた。袋が無くなって余裕ができた時に見えたその先にマークがいて、呆れた表情で私を見た。調子に乗ってたくさん買ったと言うと、「バカだろ」と嘲笑された。何だかんだ言って半分以上持ってもらって、家まで運んでもらった。口は悪いけど根は良い人なのか。
「お礼?何でも良いのか、太っ腹だなあ」
夕食が近い時間なので、ご飯を奢ることにした。ファミレスであれこれと多く注文され、悪い人だと確信した。結局9割食べられて、1割がこっちの取り分になった。こっちのを考えてくれているから、10割悪くないと思うけど。
それでもお財布が寂しく、自分も悲しくなった。
「ふう、食った食った。A、ごちそーさん」
「あ!A!どうしたの?悲しそうな顔してるけど?」
嫌味にしか聞こえないお礼を聞いたと同時に、前からマットがやって来て声をかけられた。いきさつを話そうとしたら、隣にいるマークに目を向けて声をかけていたので言えずじまいになった。
「あれ?えーっと、キミって誰?」
「マークだ、オマエの隣人だぞ」
「へーそうなんだ、でもAがいるなら良いよね!わーい!」
嬉しそうに周りをかけるマットが笑顔もたたえているので犬(本人はアレルギー)に見えて、実際癒されるので気のせいではないかもしれない。そういやこんな性格だった。
「さっさと帰ろうぜ……コイツといると疲れる……」
「マーク、バイバーイ!」
「オマエが一人で帰れ!」
どうしてこうなった。夜道で暗くなっているので、誰かついているのは嬉しいけどわめかれるのは嫌だ。彼らをなだめるも、マークが少しずつ怒気を含んだ雰囲気をしだした。
「良い気分でいたのに、オマエのせいで台無しだ」
「そうなの?A、マークとなにしたの?」
ご飯を奢ったと言うと、マークに怒ったような眼差しを向けた。またろくでもないことになるのではないのかと、諫める言葉を考える。
「今度はボクと遊びに行っても良いよね!?ボクもAと遊びたいもん!マークばっかりずるい!」
「……オマエら、痴話喧嘩してんのか?」
違うそうじゃない、マークも呆れた表情になった。マットを諫めて、明日は彼との約束を取り付けた。マークに同情されながら、結局落ち着いた結果になって三人で帰った。
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さとうみさん(プロフ) - 脚立無理さん» コメントと感想ありがとうございます。今更の返信ですみません、最初は勢いとノリだけで書かせていただいたものなので、お見苦しい所が散見いたします。しかし、脚立無理さんがそのように仰っていただけたので、至極光栄です。またお暇な時にご覧になってください! (7月19日 19時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
脚立無理(プロフ) - こんにちは、さとうみさん。初めてコメント失礼します。とても読みやすくて、頭でシーンを想像しながら何度も読み返しています。とてもキュンキュンして最高です...( ꈍᴗꈍ) (5月18日 10時) (レス) @page50 id: 130f422966 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん - 熊井さん» コメントありがとうございます!実はゾンビのサンタのお話を考えていましたが、彼のクリスマスをぼろくそに言うシーンを書きたくてこのお話になりました(笑) (2022年12月25日 19時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
熊井 - やっぱりクリスマスと言ったら、彼ですよね〜(○´∀`○) (2022年12月25日 19時) (レス) @page46 id: 7220adac43 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん - ミイミイー☆(新アカ)さん» コメントとリクエストありがとうございます!前者はスイッチが入ったら面白いことになりそうな恋人を書いてました。後者は気が付くと危ない話になりました()一応短編集は続編も考えていますが、走り切る気です。ミイミイー☆さんも頑張ってください! (2022年12月22日 13時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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