トード(Future)とトム(Future) ページ16
※前作の『トム(Future)』の続き
リーダーに機械いじり系のみだが習うことが多く、お互い暇だと彼の元に訪れることが多い。
「お、今日もか」
発明品を磨くトードが嬉しそうに手をひらひらしているが、付かず離れずの距離で座った。持って来た工具を取り出し、渡された機械を適切な工具で開く。
「突然開くとかなんつー破天荒、別に良いけどさ」
とっとと出て行きたいだけだし、破天荒はそのまま返す。勉強しに来ただけで、ナンパされる為じゃない。聞き流しながら機械を分解すると、ネジとか小さなパーツとかバラバラ現れる。
「あっという間だな、腕が上がっている証拠だが……師匠としては複雑だ」
しみじみ語るが、師匠として接してない。勝手なことになりつつあるので、元の形に戻してさっさと終わらせよう。
「本当にここにいるのか、噂がアテになるとは嫌な話だ」
「話があるなら後でな、今はAとの用事を楽しんでんだし」
「彼女は楽しんでいるように見えないが……A、手伝うぞ」
作業中に気付いたが、パーツが足りない。発明品や設計図ばかりの中で、無くしてしまった。しゃがんで、床と機械の間も探るも全然見当たらない。
その中でトムが突然入室して、私と一緒にパーツ探しを手伝ってくれた。彼にお礼を言いながら、目と手を忙しなく動かす。
「じゃーん、探しているパーツならここでーす」
すごい嫌な笑みで、しゃがむ私に近寄るトード。彼の手には、探していたパーツがあった。受け取ろうとお礼を言って手を伸ばしたが、ひょいっと上げられた。
「元々オレのだし、あげる義理は無いぜ」
「昔から意地が悪い所は変わっていないな」
睨み合う彼らに、火花が散っているように見える。昔もこんな光景が多くて、冷や汗が止まらない。
「いっつも突っ立ってバイザー点検受けてるが、彼女と密着したいって下心あんだろ」
「そ、それは関係無い!違う話をしているだろう!」
「分かるぜ、オレもそーゆー気持ちもある」
先日それがあって、告白まがいの言葉も言われた。思い出して顔が熱くなって彼らから顔をそらしながら、工具箱を持って抜き足差し足で出て行く。
「おっと、修理が終わってないぜ。投げっ放しは良くないなー再教育だな」
「変な言い方はやめろ」
「なんだったら加わるか?」
「な、何を言い出すんだ!?」
トードに腕をがっちり掴まれ、部屋の奥に連れていかれる。頬を赤くしているトムと嫌な笑顔をしているトードで、すごく嫌な予感しかしなかった。
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さとうみさん(プロフ) - 脚立無理さん» コメントと感想ありがとうございます。今更の返信ですみません、最初は勢いとノリだけで書かせていただいたものなので、お見苦しい所が散見いたします。しかし、脚立無理さんがそのように仰っていただけたので、至極光栄です。またお暇な時にご覧になってください! (7月19日 19時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
脚立無理(プロフ) - こんにちは、さとうみさん。初めてコメント失礼します。とても読みやすくて、頭でシーンを想像しながら何度も読み返しています。とてもキュンキュンして最高です...( ꈍᴗꈍ) (5月18日 10時) (レス) @page50 id: 130f422966 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん - 熊井さん» コメントありがとうございます!実はゾンビのサンタのお話を考えていましたが、彼のクリスマスをぼろくそに言うシーンを書きたくてこのお話になりました(笑) (2022年12月25日 19時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
熊井 - やっぱりクリスマスと言ったら、彼ですよね〜(○´∀`○) (2022年12月25日 19時) (レス) @page46 id: 7220adac43 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん - ミイミイー☆(新アカ)さん» コメントとリクエストありがとうございます!前者はスイッチが入ったら面白いことになりそうな恋人を書いてました。後者は気が付くと危ない話になりました()一応短編集は続編も考えていますが、走り切る気です。ミイミイー☆さんも頑張ってください! (2022年12月22日 13時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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