EWの短編集

トード ページ13

今朝テレビを何となく見ていたら、物騒なニュースが流れた。近所で原型を留めていない死体が見つかり、今はその人が誰かということと明らかに他殺で犯人を調査していると報道された。そういうことで、ちゃんと戸締りしなきゃ。

「よー元気？……ん？もしかして無視ー？」

外で食品を買っていると、歩いてた赤い人のトードと目が合って近寄って来た。未だ傍でべらべら喋り、家に帰ると彼も平然とした顔で入って来るので玄関にあった雑誌を丸めて彼に叩きつけた。それをがっしり掴まれて、結局力負けして家の中に入って来た。

「手伝うぜ。お、旨そうなモンあんじゃん。もーらいっと」

不法侵入者は冷蔵庫の中にあった可愛らしいお菓子を勝手に食べ、冷蔵庫に買ったばかりの食品を入れた。食べられた物って、気になっている人から少し前にもらったのだ。今夜逢うし、その時に感想とか言いたかった。悲しい。
お菓子の袋をゴミ箱に入れて冷蔵庫から離れ、今度はこっちに近づく。

「さあてと、何する？外出なら、ついていくぜ」

外出して行方をくらまそうかと思ったが、後々突撃してきたら困ると思い至る。しかし、夜までに追い出さなければ。
テレビを見始めた彼から離れた場所で、携帯電話を取り出して今夜逢う人にメールを送ろうと文字を打ち込む。

「オレがいんのに、他の男に連絡取んの？良い度胸してんな」

気付くとトードが近くにいて、携帯電話の画面を覗き込んでいた。ひょいっと薄い板のような機械を摘ままれ、じろじろ眺める。返して欲しくて腕を伸ばすも、上げられて届かない。

「熱心だなーそんなに恋しいのかよー」

図星で顔が徐々に熱くなる。反して前にいる人は、真顔になった。

「図星かあ。思った通りだが、嬉しくねえな」

携帯電話をテーブルの上に置いてから、詰め寄る。陰りが強い怒りが滲んでもいる顔になり、目がぎらついている。あまりの迫力に無意識に身が縮む。

「あーあ、オレってAの一番にまだなれねーか……ま、今からでもいけるな」

壁際まで追われ、突然壁に向かって拳を殴りつけた。顔すれすれで、故意にやったとしか思えない。壁から離れた拳は開けて、手の平が私の顔を這う。

「Aの大好きなヤローなら、何もできない状態だぜ」

丁度テレビの映像がニュースになった。今朝の事件の被害者が判明したと報道され、すぐに映った被害者の顔写真を見て体中が冷えていく感覚がした。

「な、できるわけないだろ？」



(他者排除型＆少し攻撃型)

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