story8 ページ10
「今は、俺が京介だ。」
そういいながら、あの人は更に距離を縮めてきた。
唇にかかる吐息も、揺らぐ目も、私を酔わせそうになる。
甘い空気に…抵抗できない。
覚悟してギュッと目を瞑った時。
「A……？」
可愛い声に目をあけると、
「黄名子……!!??」
黄名子が屋上の扉から半身を覗かせていた。
するとあの人は舌打ちしてから、私から離れた。
「……萎えた。
今日はもう帰る。」
そう乱暴に言ってから立ち上がり、避ける黄名子を素通りして去ってしまった。
何なのよ、もう……。
へたりこむと、黄名子が慌てて駆け寄ってきてくれた。
「大丈夫？
…何か、あったやんね？」
黄名子の優しい声が、心を包んでくれる。
あの人の秘密は、もう一人で抱え込むには大きすぎて。
黄名子なら信じてくれるだろうと、私は決心して口を開いた。
「……そうなんやね。
…剣城…。」
黄名子は私の話を疑いもせず、信じてくれた。
相当ショックだったのか、表情は少し暗いけど。
「……あの人は京介じゃないのに、錯覚しちゃう。
目の前に京介が居るって。
優しかった、京介が。」
さっきだってそう。
甘い空気に酔わせそうになったのも、京介だと錯覚してしまったから……
「それは、少し違うやんね。」
急に、黄名子の言葉に勢いがこもった。
目も、しっかりと私を見据えて離さない。
「剣城の人格が変わったからって、剣城は剣城。
……その人格も、剣城であることに変わりはないやんね。
だから、今の剣城も、受け入れなきゃ。」
確かに、そうではあるけれど。
でも納得がいかない。
やっぱり、私にとっての京介は、優しかった京介だけだから。
黄名子みたいに、強く受け入れる事なんて、できないよ。
「……どうして、黄名子はそんなに強いの？」
その質問に、黄名子は一瞬詰まってから、照れたように笑った。
「うち……剣城のこと、好きやから。」
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豆腐(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました！文才半端ないですね!!尊敬します!!これからも頑張って下さい!! (2013年4月13日 22時) (
レス) id: 0b9bb3093c (このIDを非表示/違反報告)
こてっちゃん(プロフ) - ふぁぁぁぁ///もーすっごいよかったです！こんな風に京介に愛されたi(((殴 (2013年3月9日 13時) (レス) id: e003f49911 (このIDを非表示/違反報告)
黒狼 - 初めてコメントさせていただきますが、とても感動的で途中から涙腺ボロボロでした。新作の更新頑張ってください((ニコッ (2013年3月9日 11時) (レス) id: 879f421b48 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 私吸血鬼の小説見てますよ〜♪ なんでしょうかね、この作者の作品をよく見るんです！☆∀☆ (2013年2月26日 10時) (レス) id: dcc5adbbd6 (このIDを非表示/違反報告)
はろはろ☆(プロフ) - ホントに感涙です……。 主人公も剣城もいい人すぎて……。 これからも頑張ってください!! (2013年2月21日 20時) (レス) id: f30d2d76ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2012年12月29日 11時
