story7 ページ9
「…サボりの上にガキみたいに泣きやがって……。」
そんな冷ややかな声に顔をあげると。
「ぁ………!!!!」
私を見下ろしていたのは、京介の顔。
けれども、中身は京介じゃない。
あの人だった。
だから、温かさも匂いも同じだったんだ……。
私は慌てて離れてから、顔を乱暴に拭った。
「う、うるさい。
……第一、サボりなら貴方もじゃない。」
少し重たくなった目であの人を睨む。
するとあの人は呆れたように肩をすくめた。
「授業なんてどうでもいい。
……それと何で貴方、なんて呼ぶわけ？
今まで通り京介でいいだろ？」
あの人の顔は、明らかに不機嫌。
…でも、仕方ないじゃない。
本当は京介って呼びたいけど。
あの人と京介は違う。
「……京介は、貴方と違う。
京介はもっと優しいし、真面目だし
それに……私をもっと大切にして、愛してくれた。
だから、貴方を京介なんて呼べない。」
これは、昨晩既に心に決めていたこと。
京介が私を庇って死んでしまったというのは、あくまで心の問題。
京介が死んで新しい人格が生まれた事は、きっと性格の豹変で済まされてしまう。
けれど、私はそうはいかない。
京介が死んでしまった事を、忘れちゃいけない。
人格が変わった京介を、本物の京介だと認めちゃいけない。
だからこの人を京介と呼ぶわけにはいかない。
「……よくわかんねーけど。
…ごちゃごちゃややこしくてうぜーな。」
あの人は髪をくしゃりと掻いた後、
ガン!!!!
フェンスに手をかけ、けたたましい音を鳴らして私に詰め寄ってきた。
フェンスとあの人との板挟みで、逃げることができない。
鋭く光る目が、私の心を捉えて離さなかった。
「……もう、忘れろよ。
アイツの事。」
私の顎に添えられた白い指が、顎の角度を一定の角度に固定する。
ある行為に最適な角度に。
昨日の冷たいキスを思い出すと、悔しくて泣きそうになる。
「初めてのキスだって、京介とがよかった…!!」
「…今は、俺が京介だ。」
あの人はまた不機嫌そうに私を睨む。
けれどその瞳は、何故だか悲しそうに揺らいでいる気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
貴方は、マサキのホッペをﾌﾟﾆﾌﾟﾆすることが出来るかｧｧｧ！？【狩屋マサキ】 先輩…俺に逆らったら、○○しちゃいますよ？【狩屋マサキ】 パーフェクト保体教室【剣城京介】ーＬesson1ーもっと見る
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
豆腐(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました！文才半端ないですね!!尊敬します!!これからも頑張って下さい!! (2013年4月13日 22時) (
レス) id: 0b9bb3093c (このIDを非表示/違反報告)
こてっちゃん(プロフ) - ふぁぁぁぁ///もーすっごいよかったです！こんな風に京介に愛されたi(((殴 (2013年3月9日 13時) (レス) id: e003f49911 (このIDを非表示/違反報告)
黒狼 - 初めてコメントさせていただきますが、とても感動的で途中から涙腺ボロボロでした。新作の更新頑張ってください((ニコッ (2013年3月9日 11時) (レス) id: 879f421b48 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 私吸血鬼の小説見てますよ〜♪ なんでしょうかね、この作者の作品をよく見るんです！☆∀☆ (2013年2月26日 10時) (レス) id: dcc5adbbd6 (このIDを非表示/違反報告)
はろはろ☆(プロフ) - ホントに感涙です……。 主人公も剣城もいい人すぎて……。 これからも頑張ってください!! (2013年2月21日 20時) (レス) id: f30d2d76ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2012年12月29日 11時
