story6 ページ8
京介と私は小さい頃から一緒だった。
幼稚園、小学校と進級していくにつれてどんどん仲良くなっていった。
一緒に居るだけで楽しくて、けれどやがて、少し苦しくなった。
京介の顔を見るだけで顔が赤くなって、胸が苦しくなって。
誰かが京介と話していると釈然としない。
それが何故なのか良く分からなかった。
その理由に気がついたのは、小学五年の冬。
小学校の屋上に呼び出された私は、京介を待ちながら景色を見ていた。
丁度寒い風に身体を縮めた時。
ギュッ…
「ごめん、待たせたな。」
後ろから暖かさを感じると、京介が私を抱き締めてくれていた。
身体が暖まると同時、心拍数もどんどん増えていく。
苦しくて、たまらない……。
甘酸っぱい気持ちを持て余している時だった。
「俺……Aが好き。」
耳元で、そっと吐息混じりに囁かれた。
身体が何倍も熱く、気持ちが込み上げてきて止まらない。
私も……京介が好き。
・
・
・
あの時は、人生で一番嬉しかった時だと胸を張って言える。
今年も、気がつけばもうあの時の季節になっていた。
去年は二人でささやかなお祝いをしたけれど。
もう、二人で祝うこともできない。
私はへたりこんで小さく膝を抱えてうずくまった。
一人きりの冬はあまりにも寒くて、哀しすぎる。
思わず涙が溢れた瞬間
ギュッ
後ろから誰かに抱き締められた。
その温度が温かくて、優しくて、懐かしくて。
私は方向転換をしてからその人に抱きついた。
顔を押し付けた胸板からは、恋しかった匂いが仄かに漂ってくる。
京介の、匂い……。
もう、感情を抑える事なんてできなかった。
「京介っ、京介………!!!!」
もう会えないと知っているのに。
きっと別人なのに。
今だけは、京介の温もりを感じていたくて、
私は抱きついたまま、声をあげて泣いた。
その人は驚いただろうけど、一瞬私を、強く、優しく抱き締めてくれた。
けれど。
「…サボりの上にガキみたいに泣きやがって……。」
しばらくして降ってきた声は、びっくりする程冷たかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
貴方は、マサキのホッペをﾌﾟﾆﾌﾟﾆすることが出来るかｧｧｧ！？【狩屋マサキ】 先輩…俺に逆らったら、○○しちゃいますよ？【狩屋マサキ】 パーフェクト保体教室【剣城京介】ーＬesson1ーもっと見る
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
豆腐(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました！文才半端ないですね!!尊敬します!!これからも頑張って下さい!! (2013年4月13日 22時) (
レス) id: 0b9bb3093c (このIDを非表示/違反報告)
こてっちゃん(プロフ) - ふぁぁぁぁ///もーすっごいよかったです！こんな風に京介に愛されたi(((殴 (2013年3月9日 13時) (レス) id: e003f49911 (このIDを非表示/違反報告)
黒狼 - 初めてコメントさせていただきますが、とても感動的で途中から涙腺ボロボロでした。新作の更新頑張ってください((ニコッ (2013年3月9日 11時) (レス) id: 879f421b48 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 私吸血鬼の小説見てますよ〜♪ なんでしょうかね、この作者の作品をよく見るんです！☆∀☆ (2013年2月26日 10時) (レス) id: dcc5adbbd6 (このIDを非表示/違反報告)
はろはろ☆(プロフ) - ホントに感涙です……。 主人公も剣城もいい人すぎて……。 これからも頑張ってください!! (2013年2月21日 20時) (レス) id: f30d2d76ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2012年12月29日 11時
