story24 ページ26
俺は始めて自分の身体を手にいれたが、正直困っていた。
あいつの、最後の頼み。
Aを守って、愛すること。
俺はあいつと違って上手い愛し方なんてこれっぽっちも分からなかった。
あいつの心を独占して、身体を繋ぐ。それが俺の中の愛し方。
だからAに初めて直接会った時、迷い無く唇を奪った。
そして、残酷な言葉で、行動で現実を教えた。
あいつの事を忘れて、俺だけを考えられるように。
けれど、全然上手くいかなかった。
むしろ突っぱねられて、嫌われて。
けれど、そんな俺も時々似合わない真似をしていた。
いつもは気丈なAが、あいつを思って泣いたり、
微笑んだりする姿が、あまりにも綺麗だったから。
その姿を見る度に、自然と身体が動いてしまった。
似合わずに優しく、抱き締めていた。
俺じゃ、Aを満たせない。
そう感じたのはAに叩かれた時。
突拍子過ぎたのと、泣きながら手をわなわなと震わせるAの残像がちらついて暫く動けなかった。
Aは、あいつの為なら涙を流せる。
それほどあいつを思っている。
なら、Aが一番幸せになるのは、俺がずっとあいつを演じる事。
優しくして、笑って…それをするだけで、Aが笑ってくれるなら。
俺は消えてもいい。
けれど、Aは全然笑っていなかった。
むしろずっと心配そうに俺を見ていた。
そして、今日が来た。
Aの誕生日。
学校サボってまで貯めた金で、最高のプレゼントを買った。
これでAは喜んでくれる。
計画は完璧な筈だった。
なのに…
・
・
・
もしこのままAが目覚めなかったら、俺はきっと壊れてしまう。
ようやく本当の愛し方が分かってきたのに。
愛する人が居なければ意味がない。
そして俺はきっと、Aしか愛せない。
「A……っ。」
信じたことの無い神に向かって、一生に一度だけ願いをかける。
Aを、助けてください。
祈ってから目を開けて、眠り姫を見た、瞬間。
「んっ……。」
大きな目が、うっすらと開いた。
「きょう、すけ……？」
眠そうに、でもうっすら笑っているような顔でAは俺を見た。
その時
俺の目から初めて涙が溢れた。
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豆腐(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました！文才半端ないですね!!尊敬します!!これからも頑張って下さい!! (2013年4月13日 22時) (
レス) id: 0b9bb3093c (このIDを非表示/違反報告)
こてっちゃん(プロフ) - ふぁぁぁぁ///もーすっごいよかったです！こんな風に京介に愛されたi(((殴 (2013年3月9日 13時) (レス) id: e003f49911 (このIDを非表示/違反報告)
黒狼 - 初めてコメントさせていただきますが、とても感動的で途中から涙腺ボロボロでした。新作の更新頑張ってください((ニコッ (2013年3月9日 11時) (レス) id: 879f421b48 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 私吸血鬼の小説見てますよ〜♪ なんでしょうかね、この作者の作品をよく見るんです！☆∀☆ (2013年2月26日 10時) (レス) id: dcc5adbbd6 (このIDを非表示/違反報告)
はろはろ☆(プロフ) - ホントに感涙です……。 主人公も剣城もいい人すぎて……。 これからも頑張ってください!! (2013年2月21日 20時) (レス) id: f30d2d76ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2012年12月29日 11時
