story17 ページ19
「んっ……」
私は目を覚ますと、ある変化に気づいた。
力尽きてベッドに倒れた筈なのに、布団と毛布がきちんと掛かかっていた。
私にそこまでできる余力は無かったし、きっと、他の人。
お母さん？
ううん、まだ仕事があるはず。
一体……誰が…。
ガチャ
扉の向こうに居たのは。
「っ!!」
「あなた……!!??」
紛れもなくあの人。
何で、こんなタイミングで……
私はくるりと背を向けた。
「…何しにきたの？」
できるだけ、冷たい声で言い放つ。
これ以上、近づかないように。
けれど、あの人の返答は。
「………Aの様子が、心配だったから。」
京介のような、優しい言葉。
不意に泣きそうになりながら、けれど、堪える。
「…また、京介のフリして騙す気？」
「……いや、騙しはしない。
俺は俺のままだ。」
じゃあ、どうして……。
あの人は、小さく笑った。
あの時と同じ瞳で。
昨日キスする前の、寂しげな目で。
「…俺は、ずっとあいつを演じることにした。」
え………？
「お前、俺が死んで、あいつに生きてて欲しい、って言っただろ？
今の俺は、Aに思ってもらえない。
なら、俺がずっとあいつを演じていれば、Aに思ってもらえる。
ある意味『俺』が死んだも同然だから、Aも満足できる。
…そんな簡単な事に、ようやく気づいたんだ。」
そう言って笑うあの人の顔が、胸を締め付ける。
何故か言葉が出てこない。
あの人は、私の頭にそっと手を置いた。
「…大事にしろよ？
おやすみ。」
「ぁ……っ…。」
声をかける前に、あの人は去ってしまった。
「何なのよ…いきなり……」
ポツリと洩らした言葉の、続きが上手く出てこない。
自分でも、今の気持ちがよく分からないから。
あの人なんかに京介の代りは務まらない。
京介と全く一緒で少し嬉しい。
あの人の存在が死んで清々する。
あの人の優しさで辛さが和らいだ。
どれもこれも、全然違う。
ただ、一つだけ分かった事。
さっきからずっと感じていた違和感の正体。
私、いつの間にか
あの人を京介とは全く切り離して考えていた。
京介の代わりの人格としてじゃなく、一人の人として見始めていたんだ。
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豆腐(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました！文才半端ないですね!!尊敬します!!これからも頑張って下さい!! (2013年4月13日 22時) (
レス) id: 0b9bb3093c (このIDを非表示/違反報告)
こてっちゃん(プロフ) - ふぁぁぁぁ///もーすっごいよかったです！こんな風に京介に愛されたi(((殴 (2013年3月9日 13時) (レス) id: e003f49911 (このIDを非表示/違反報告)
黒狼 - 初めてコメントさせていただきますが、とても感動的で途中から涙腺ボロボロでした。新作の更新頑張ってください((ニコッ (2013年3月9日 11時) (レス) id: 879f421b48 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 私吸血鬼の小説見てますよ〜♪ なんでしょうかね、この作者の作品をよく見るんです！☆∀☆ (2013年2月26日 10時) (レス) id: dcc5adbbd6 (このIDを非表示/違反報告)
はろはろ☆(プロフ) - ホントに感涙です……。 主人公も剣城もいい人すぎて……。 これからも頑張ってください!! (2013年2月21日 20時) (レス) id: f30d2d76ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2012年12月29日 11時
