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路地・暮 ページ36

錆兎くんは、とっくに私の先を歩いていた。
昼間と同じように、土を触り、壁に手を当て、匂いを嗅ぐ。それを、向こうの通りまで繰り返していた。

私はそんな錆兎くんを見て、反対方向の調査をする。彼が路地の端に辿り着くのが、合図だった。

「錆兎くーん!」
「なんだ!」
「先言ってて良いよー!!」
「はあ?」

わざとらしさの残る絶妙な棒演技をしつつ、作戦が本格化する。
私の呼びかけに応え、錆兎くんは一度こちらに戻ってきた。

「何を言ってるんだ、危険なのに」
「錆兎くんはあっちの通りを見てきて。鬼が同じ場所に留まっているとは限らないでしょ」
「それはそうだが」
「はいはいじゃーね」
「おい…」

勿論錆兎くんはあっちの通りに行く事は無い。建物の上に登り、周辺を把握しやすい状態で私を監視する。

そこで鬼と出くわしたなら、そのまま戦闘。私を襲ってくる様なら、誘導する。打ち合わせでそう決めた。


結果、鬼の狙いは――






――私だ!!


それは一瞬の出来事だった。頭で考えるよりも、体が先に反応していた。

鬼の気配。殺気。錆兎くんの言った、“血の匂い”を初めて理解する。鉄臭く、死臭を感じる不快感。
死臭を嗅いだ事なんてない。けれど、これが“そう”なのだと思い知らされるような……!

私の体は、地面を蹴って横にずれる。思い切り壁にぶつかって、肩を強く打ってしまう。だけど、痛みに顔をしかめ続ける余裕は無い。体中の毛穴から汗が吹き出し、肌がぞわぞわする。精一杯の、私が感じる危険信号。

「あはは、よく避けたなあ。お前……」

・→←作戦決行



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凪暮(プロフ) - 笹さん» はじめまして!小説を読んで頂き、ありがとうございます!錆兎の小説少ないですよね(笑)これからも面白いものを書けるように頑張ります!コメントありがとうございました(´∀`*) (2020年2月23日 0時) (レス) id: f2693a43aa (このIDを非表示/違反報告)
- はじめまして!コメント失礼します。私錆兎が好きで、小説読んでるんですけど少なくて…面白いのに出会えて嬉しいです!これからも頑張って下さい! (2020年2月21日 2時) (レス) id: b0e039ba17 (このIDを非表示/違反報告)
凪暮(プロフ) - 愛さん» ご指摘ありがとうございます。もっと面白いものにできるよう、更新頑張りますね! (2020年2月10日 12時) (レス) id: 8a0d382133 (このIDを非表示/違反報告)
- 文が淡々としてる気がします。でも面白いので、頑張って下さい (2020年2月10日 2時) (レス) id: f2693a43aa (このIDを非表示/違反報告)
凪暮(プロフ) - せなさん» ありがとうございます!更新頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします! (2020年2月8日 15時) (レス) id: 8a0d382133 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凪暮 | 作者ホームページ:https://twitter.com/yume_nlmosuki  
作成日時:2020年2月1日 15時

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